居住設備の要件を分ける建造日と3,000トンの境目(MLC規則3.1)
2026-07-16

居住設備の要件をその船に適用できるかという問いは二度分かれます。一度目の分かれ目は船をいつ 建造したかであり、二度目は総トン数です。MLC, 2006の規則3.1と基準A3.1が二つの分かれ目をそれ ぞれ別の場所に置いたため、一方だけ見て判断すると他方が残ります。
建造の時点が適用される規範を分けます
The requirements in the Code implementing this Regulation which relate to ship construction and equipment apply only to ships constructed on or after the date when this Convention comes into force for the Member concerned.
船舶の構造と設備に関する要件は、その日付以後に建造された船にだけ適用されます。それより前に 建造された船には、1949年の船員設備条約(改正)(第92号)と1970年の船員設備(補足規定)条約 (第133号)の構造・設備要件が、その日付より前に当該加盟国の法または慣行によって適用されていた 範囲で引き続き適用されます。
建造の時点の定義も条文にあります。
A ship shall be deemed to have been constructed on the date when its keel is laid or when it is at a similar stage of construction.
引渡日ではなく起工日です。同じ年に引き渡された二隻でも、起工の時点が違えば適用される規範が 分かれ得ます。
基準となる日付は旗国ごとに違います
条文はthe date when this Convention comes into force for the Member concernedと書いています。
条約そのものの発効日ではなく、当該加盟国についての発効日です。批准の時期が国ごとに違う
ので、この日付も国ごとに違います。
実務でこの構造が意味することは一つです。同じ起工日の姉妹船でも、旗国が違えば適用される規範が 分かれ得ます。そして船籍を移せば、その船に適用される日付が新しい旗国の発効日に変わります。
コードの改正も同じように前を向きます。
- Unless expressly provided otherwise, any requirement under an amendment to the Code relating to the provision of seafarer accommodation and recreational facilities shall apply only to ships constructed on or after the amendment takes effect for the Member concerned.
明示的に別段の定めがない限り、居住設備に関するコードの改正要件は、その改正が発効した後に建造 された船にだけ適用されます。
3,000トンが繰り返し現れる二つ目の分かれ目です
基準A3.1は、いくつもの要件について総トン数3,000トン未満の船に権限のある機関が免除を与えられる 道を開いています。免除は自動ではなく、船舶所有者団体および船員団体と協議したうえで機関が行う 決定です。
| 要件 | 3,000トン未満で開くもの |
|---|---|
| 船員一人ごとの個室(旅客船以外) | 免除可能 |
| 食堂を寝室から離し、調理室の近くに置くこと | 免除可能 |
| 航海船橋および機関区域の近くの衛生設備 | 免除可能 |
| 甲板部・機関部用の事務室 | 免除可能 |
| 船長・機関長・一等航海士の寝室に接する居室 | 免除可能 |
総トン数200トン未満には別の免除条項がもう一つあります。船の大きさと乗船人員を考慮して合理的な 場合に、特定の項の要件と一部の項の床面積の要件に限って免除できます。
面積の数字はトン数の区分で分かれます
一人用寝室の床面積の下限が三つの区分に分かれます。
| 総トン数の区分 | 一人用寝室の床面積の下限 |
|---|---|
| 3,000トン未満 | 4.5平方メートル |
| 3,000トン以上10,000トン未満 | 5.5平方メートル |
| 10,000トン以上 | 7平方メートル |
寝台そのものにも下限があります。内法で最低198センチメートル掛ける80センチメートルです。そして 自由な移動が必要なすべての居住区域の天井高は203センチメートル以上です。権限のある機関が、 合理的であり船員に不快をもたらさないと認めれば、一部の空間で限定的に下げられます。
検査が開き直す瞬間と、船長の点検は別にあります
基準A3.1の第3項が、規則5.1.4の検査を二つの瞬間に実施すると定めます。船が登録または再登録される とき、そして船員の居住設備が実質的に変更されたときです。船籍を移したり居住区を改造したりすると 検査が開き直すという意味です。
これとは別に船内の点検があります。
- The competent authority shall require frequent inspections to be carried out on board ships, by or under the authority of the master, to ensure that seafarer accommodation is clean, decently habitable and maintained in a good state of repair. The results of each such inspection shall be recorded and be available for review.
主体は船長または船長の権限の下にある者です。周期はfrequentとだけ書かれており、旗国の法令が
埋めます。ただし結果への要求ははっきりしています。各点検の結果を記録し、閲覧できるようにして
おかなければなりません。点検をしたという事実だけではこの条文を満たしません。
確認しておくこと
上の引用はMLC, 2006統合版(2022年改正を含む)の印刷44ページから50ページで取りました。上の表の 免除は、権限のある機関が協議を経て実際に与えたときに成立します。その船の起工日がいつか、旗国 についての条約発効日がいつか、3,000トン未満ならどの免除が実際に与えられているか、そして船内の 点検記録がどこに残っているかが、実際の判断の出発点です。
居住設備の点検は、結果を記録して閲覧できるようにしておけというのが条文の求めです。Bellbookは船内から上げた点検と確認の記録を船別にまとめるので、いつ何を見たかが後にそのまま残ります。
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