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船員・労務

生存艇と上級消火の資格に必要な5年ごとの維持証拠と船上経験が認められる範囲(STCW コード A-VI/2・A-VI/3)

2026-08-10

一等航海士が証書の束を持ってきます。生存艇と救助艇の証書、高速救助艇の証書、上級消火の証書、 そして医療応急処置の証書です。次の乗船までに何を取り直すのかを尋ねます。

四枚に同じ答えは出せません。STCW コードのA部は資格ごとに維持の要件を別々に書いており、その うち一部にだけ5年という周期が付いています。そして5年ごとに求められる証明は、最初の取得の ときの証明と同じではありません。この記事はその二つの分かれ目をたどります。

生存艇の資格には5年ごとに維持証拠を出せという項が付いています

5 Seafarers qualified in accordance with paragraph 4 in survival craft and rescue boats other than fast rescue boats shall be required, every five years, to provide evidence of having maintained the required standards of competence to undertake the tasks, duties and responsibilities listed in column 1 of table A-VI/2-1.

読むところは三つです。周期は5年、出すものはevidence of having maintained、対象は 表A-VI/2-1の第一欄に挙げられた職務です。最初の取得と同じ表を指しますが動詞が違います。最初は achievedであり、維持ではmaintainedです。

高速救助艇は同じ節の中の別の資格です。表も違い、項も違います。

11 Seafarers qualified in accordance with paragraph 10 in fast rescue boats shall be required, every five years, to provide evidence of having maintained the required standards of competence to undertake the tasks, duties and responsibilities listed in column 1 of table A-VI/2-2.

生存艇の証書を持っているからといって高速救助艇側の周期が一緒に埋まることはありません。二つの 項がそれぞれ自分の表を指しているからです。

最初の取得には試験が付きますが更新の条文は方法を指定しません

最初の取得の要件は二筋です。第4項がそう書いています。一つは表の第一欄の職務を第三欄と第四欄の 方法と基準に従って実演することであり、もう一つがこれです。

.2 examination or continuous assessment as part of an approved training programme covering the material set out in column 2 of table A-VI/2-1.

ところが第5項にはこの筋がありません。維持証拠を出せとだけ言い、方法を指定しません。方法の扉を一つ 開けるのは次の項です。

6 Parties may accept onboard training and experience for maintaining the required standard of competence of table A-VI/2-1 in the following areas:

主語がPartiesです。会社でも船長でもなく条約の締約国です。そして動詞がmayです。船上の訓練 と経験を認めるかどうかは締約国が決めます。その船の旗国が認めなければ、船上の記録をいくら 積んでも維持証拠にはなりません。

船上経験で埋められる項目は最初の表の一部だけです

表A-VI/2-1の第一欄には能力が五つあります。第6項が開く一覧は四つです。抜けている一つが生存艇の 機関の始動と運転です。残る四つの中にも抜けた場所があります。

  • 転覆した救命いかだを救命胴衣を着けたまま復原する実演は、表にあって第6項の一覧にありません
  • 表の三つ目の能力は火工品まで含みますが、第6項の同じ筋は携帯用無線装置だけです

.2.2 use individual items of equipment of survival crafts, except for pyrotechnics; and

except for pyrotechnicsがこの構造を圧縮して見せます。船で再現できないものは船上経験として 認めません。火工品は撃てば無くなり、訓練で撃てば遭難信号になります。残った場所は訓練機関が埋めます。

高速救助艇側の第12項も同じ形です。転覆した高速救助艇を復原することと特殊な装備を着けたまま 泳ぐことは、表A-VI/2-2にあって第12項にはありません。

上級消火も5年の周期に入りますが船上で認められる枠は一つです

5 Seafarers qualified in accordance with paragraph 4 in advanced fire fighting shall be required, every five years, to provide evidence of having maintained the required standards of competence to undertake the tasks, duties and responsibilities listed in column 1 of table A-VI/3.

文の作りがA-VI/2の第5項と同じです。5年、維持証拠、表の第一欄です。ところが表A-VI/3の第一欄 には能力が四つあります。

  • 船内の消火作業の統制
  • 消火隊の編成と訓練
  • 火災探知設備と消火設備および器具の点検と整備
  • 火災事故の調査と報告書の作成

第6項が船上の訓練と経験に開くのは、このうち一つ目だけです。しかも一つ目の全部ではありません。 表の第二欄には、消火用水の使用が船の復原性に及ぼす影響とその予防および修正の手順、そして 危険物が関わる火災の消火が入っています。第6項の一覧にはこの二つがありません。

最初の取得の敷居もA-VI/2と違います。

1 Seafarers designated to control fire-fighting operations shall have successfully completed advanced training in techniques for fighting fire, with particular emphasis on organization, tactics and command, and shall be required to demonstrate competence to undertake the tasks, duties and responsibilities listed in column 1 of table A-VI/3.

shall have successfully completed advanced trainingが先に置かれます。承認された上級の訓練を 終えたという事実そのものが要件です。A-VI/2の第4項のように実演と試験を二筋に分けて書いては いません。

医療の側の二つの資格には5年の項がそもそもありません

A-VI/4は資格を二つに分けます。船内の医療応急処置を行うよう指定された船員と、船内の医療の管理 を担うよう指定された船員です。前者は表A-VI/4-1を、後者は表A-VI/4-2を使います。

この節には5年ごとに維持証拠を出せという項も、締約国が船上の訓練と経験を認めることができると いう項もありません。A-VI/2とA-VI/3に並んでいた二つの項が、A-VI/4には現れません。

代わりに証明の方法が違います。医療の管理の側は実地の指導と実演で評価し、そこに一行が加わり ます。

Where practicable, approved practical experience at a hospital or similar establishment

実行可能な場合の、病院またはこれに準ずる施設での承認された実務経験は、船で作れる種類の証拠 ではありません。

資格 5年の維持証拠 船上の訓練と経験の容認
生存艇と救助艇(高速救助艇を除く) A-VI/2 第5項 四筋(第6項)
高速救助艇 A-VI/2 第11項 一筋(第12項)
上級消火 A-VI/3 第5項 一筋(第6項)
医療応急処置 該当する項なし 該当する項なし
医療の管理 該当する項なし 該当する項なし

確認しておくこと

上の引用はSTCW コードのA-VI/2とA-VI/3、A-VI/4(STCW/CONF.2/34)から取りました。

A部が定めるのは、維持証拠を求めるかどうかと、船上経験で認めうる項目の範囲です。その範囲の中 で実際に認めるかは締約国が決め、様式と提出先は旗国が決めます。A-VI/4に 5年の項がないことはコードのA部についての事実です。旗国が自国の法令で医療関係の証書に有効期間 を付けることは別の層の話です。その船の旗国が船上経験を認めるか、認めるならどの記録を求めるか が、実際の判断の出発点です。

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