MARPOL附属書VIの排出の例外・試験のための免除・同等物の認定主体と条件
2026-08-28

機関室の火災で排ガス系統が損傷し、その日の排出が規制値を超えたとします。別の船は、新しい 燃焼技術を試験するために規定と異なる設定で主機を回そうとしています。さらに別の船は、規定が 求める設備の代わりに、性能の同じ別の設備を装備したいと考えています。
三つとも附属書VIの要求から外れる話です。ところが外れ方が互いに違います。一つは条文が最初から 適用されない場合です。一つは主管庁が免除を発給する場合です。残る一つは主管庁が同等のものと 認める場合です。扉は三つあり、幅が互いに違い、扉を開ける主体も違います。
安全と人命のための排出には規定が最初から掛かりません
1 Regulations of this Annex shall not apply to: .1 any emission necessary for the purpose of securing the safety of a ship or saving life at sea; or
条文はshall not applyと書いています。免除を受けるのではなく、適用そのものがありません。
申請する先も、発給を受ける書類もありません。
その代わり扉は狭いです。船の安全を確保するため、または海上で人命を救うために必要な排出で なければなりません。燃料費を節約するため、日程に間に合わせるために出した排出はここに入り ません。この扉は書類ではなく、その日の事実関係で判定されます。
損傷による排出は二つの条件を通って初めてこの扉の中に残ります
.2 any emission resulting from damage to a ship or its equipment: .2.1 provided that all reasonable precautions have been taken after the occurrence of the damage or discovery of the emission for the purpose of preventing or minimizing the emission; and .2.2 except if the owner or the master acted either with intent to cause damage, or recklessly and with knowledge that damage would probably result.
損傷そのものは扉を開けてくれません。条件が二つ付きます。
一つ目は、排出を防ぎまたは最小にするための合理的な予防措置を全て取っていることです。時点が 条文に書かれています。損傷が起きた後、または排出を発見した後です。ですから損傷を確認した 時刻、その後に取った措置、措置を取った時刻が判断の材料になります。
二つ目は、船舶所有者または船長が損傷を生じさせる意図をもって行動した場合、または損傷が生じる であろうことを知りながら無謀に行動した場合を除く、というものです。判断の対象は会社の手順では なく船舶所有者と船長の行為です。前の条件は事後の措置を問い、後の条件は事前の意図を問います。
試験と研究のための免除は主管庁が発給し、気筒当たりの排気量が期間を分けます
2 The Administration of a Party may, in cooperation with other Administrations as appropriate, issue an exemption from specific provisions of this Annex for a ship to conduct trials for the development of ship emission reduction and control technologies and engine design programmes.
この扉は前の二つと違います。開けてくれる主体がいます。締約国の主管庁であり、適当な場合には 他の主管庁と協力します。開ける理由も決まっています。附属書または改正NOx技術コードの特定の 規定をそのまま適用すると、その技術やプログラムの研究が妨げられる場合にのみ発給します。発給の 隻数も必要最小限に限られます。
期間は機関の気筒当たりの排気量で分かれます。
| 気筒当たりの排気量 | 試験期間の上限 | その後に付くもの |
|---|---|---|
| 30 L以下 | 18か月 | 時間がさらに必要なら18か月をもう一度許可することができます |
| 30 L以上 | 5年 | 中間検査ごとに進捗の検討を受け、必要なら5年まで更新できます |
30 L以上の側には回収の条件も併せて付きます。試験が許可の条件を守っていない場合、またはその 技術やプログラムが排出の削減に実効を生みそうにないと判断される場合、検討の結果を根拠に許可を 回収することができます。期間が長い分だけ、途中で確かめる装置が入っています。
この免除には開かない場所が一つあります。
A permit issued under this regulation shall not exempt a ship from the reporting requirement under regulation 27 and shall not alter the type and scope of data required to be reported under regulation 27.
試験の許可を受けても規則27の報告義務は残ります。報告すべき資料の種類と範囲もこの許可では 変わりません。試験をしている間も燃料油消費の資料は同じ形式で報告します。
同等物は排出削減の効果が規定と少なくとも同じでなければ認められません
1 The Administration of a Party may allow any fitting, material, appliance or apparatus to be fitted in a ship or other procedures, alternative fuel oils, or compliance methods used as an alternative to those required by this Annex if such fitting, material, appliance or apparatus or other procedures, alternative fuel oils, or compliance methods are at least as effective in terms of emissions reductions as those required by this Annex, including any of the standards set forth in regulations 13 and 14.
認定の対象は広いです。設備、材料、器具、装置だけでなく、他の手順、代替燃料油、遵守方法も 入ります。その代わり基準は一つに定められています。排出削減の観点から少なくとも同じ効果を 出さなければなりません。規則13と規則14の基準もその対象に含まれると条文が直接書いています。
同等物はその船の中で終わりません。
2 The Administration of a Party that allows a fitting, material, appliance or apparatus or other procedures, alternative fuel oils, or compliance methods used as an alternative to those required by this Annex shall communicate to the Organization for circulation to the Parties particulars thereof, for their information and appropriate action, if any.
認めた主管庁はその内容をIMOに通報し、IMOが締約国に回覧します。ですから同等物は、旗国と船社の 間で終わる合意ではなく、他の締約国が知っている状態になります。
規則4には強さの違う文が混ざっています。通報はshallです。IMOが作った関連の指針を考慮する
ことはshouldです。環境と人の健康、財産、資源を害さないようにすることはshall endeavour
です。同じ条の中でも義務の強さが文ごとに違います。
活動の性格で外れる場所と、船種で外れる場所が別にあります
規則3には、上の三つとは違う根拠で開く場所がもう二つあります。
一つは海底鉱物資源です。探査、開発、それに伴う洋上処理から直接生じる排出は附属書の適用から 外れます。炭化水素のフレアリング、掘削泥水とカッティングスの焼却、掘削流体に含まれるガスと 揮発性化合物の放出、海底鉱物の処理・取扱い・貯蔵に直接伴う排出、そしてその活動にのみ専ら 用いられるディーゼル機関の排出がここに入ります。現場で生産してその場で燃料として使う炭化水素 には、主管庁が承認すれば規則18が適用されません。
もう一つは無人非自航はしけです。
4 The Administration may exempt an unmanned non-self-propelled (UNSP) barge from the requirements of regulations 5.1 and 6.1 of this Annex by means of an International Air Pollution Prevention Exemption Certificate for Unmanned Non-self-propelled (UNSP) Barges, for a period not exceeding five years provided that the barge has undergone a survey to confirm that conditions referred to in regulations 2.1.32.1 to 2.1.32.3 of this Annex are met.
この扉は検査と証書発給の義務そのものを外します。規則5.1と規則6.1が対象です。その代わり専用の 免除証書を受ける必要があり、期間は5年を超えられず、条件の充足を確認する検査を先に受けなければ なりません。前の二つの扉と違い、紙が残る扉です。
確認しておくこと
上の引用は、決議MEPC.328(76)で採択されたMARPOL附属書VI改正版の規則3と規則4から取りました。 印刷10ページから12ページまでです。
三つの扉の判断主体が違うという点が、実務で分かれる場所です。
- 安全と損傷の扉はその日の事実で判定されます。残るのは許可証ではなく記録です。
- 試験免除と同等物の扉は主管庁が開けます。申請の様式と審査の手続は旗国ごとに違います。
- 同等物を他の締約国が寄港国としてどう受け取るかは規則4が定めていません。条文が定めたのは主管庁の通報義務までです。
主管庁が考慮すべきIMO指針の一覧と改正版、試験免除の許可の様式、無人非自航はしけの条件をどの 検査で確認するのかは、旗国と改正版によって分かれます。船が今どの扉の前に立っているのかをまず 決め、その扉が求める書類を確認するという順序になります。
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