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環境・規制

停泊中の陸上電力供給への接続義務の二つの施行日と例外事由(EU規則2023/1805第6条)

2026-08-31

コンテナ船が一隻、欧州のどこかの岸壁に着岸したとします。着岸している間、船は発電機を回して 電気を作ります。FuelEU(EU規則2023/1805)第6条は、ある時点からそれを止め、陸上電力供給への 接続を求めます。

ところがその時点は一つではありません。第6条は日付を二つ置き、その間に港を分けました。そして 接続しなくてよい事由を八つ列挙しています。その港がどちらの日付に掛かるかと、その日にどの扉が 開いているかを、一緒に見る必要があります。

接続義務が掛かる船はコンテナ船と旅客船の二つだけです

  1. Paragraphs 1, 2 and 3 shall apply to: (a) containerships; (b) passenger ships.

第1項から第3項までが接続義務を作り、その三つが掛かる船種を第4項が二つに絞ります。ばら積み船も タンカーも入りません。第6条を読むときの最初の問いは日付ではなく船種です。

施行日が二つあり、その間を分けるのは港です

  1. From 1 January 2030, a ship moored at the quayside in a port of call which is covered by Article 9 of Regulation (EU) 2023/1804 and which is under the jurisdiction of a Member State shall connect to OPS and use it for all its electrical power demand at berth.
  1. From 1 January 2035, a ship moored at the quayside in a port of call which is not covered by Article 9 of Regulation (EU) 2023/1804, which is under the jurisdiction of a Member State and where the quay is equipped with available OPS shall connect to that OPS and use it for all its electrical power demand at berth.

一つ目の日付は2030年1月1日で、対象は規則(EU)2023/1804第9条が適用される寄港地です。どの港が そこに入るかをFuelEUは自ら書かず、別の規則に渡しました。船が見るのは岸壁に設備が見えるかでは なく、その港がその条文に掛かるかです。

二つ目の日付は2035年1月1日で、対象は第9条が適用されない寄港地です。ここには条件がもう一つ 付きます。岸壁にavailable OPSが備わっていなければなりません。設備がなければ、この日付が来ても 義務は生じません。

二つの条文が求めるのは接続そのものではありません。 all its electrical power demand at berthをそれで賄う状態です。

加盟国は施行日を前倒しし、錨泊まで広げられます

2030年1月1日から2034年12月31日まで、加盟国は第9条が適用されない自国管轄の港に接続義務を先に 掛けられます。港全体ではなく一部だけを指定してもかまいません。その代わり手続が付きます。

The Member State shall notify its decision imposing such requirement to the Commission a year prior to the application thereof. Such decision must apply from the beginning of a reporting period.

適用の1年前に欧州委員会へ通報しなければならず、その決定は報告期間が始まる日から適用されます。 欧州委員会はこれを欧州連合官報に掲載し、対象の港の一覧を更新して公開します。

第11項が同じ手続でもう一つ扉を開けます。加盟国は管轄下の港またはその一部で錨泊中のコンテナ船と 旅客船にも同じ義務を掛けられます。どちらの場合も船が見るのは岸壁ではなく一覧です。義務が報告 期間の途中で入ることもありません。

接続しなくてよい事由は八つで閉じられています

  1. Paragraphs 1, 2 and 3 shall not apply to ships that:

列挙された八つには、それぞれ一緒に求められるものが付いています。

事由 条文が一緒に求めるもの
(a) 着岸が二時間未満 第15条により監視・記録した到着時刻と出発時刻で計算します
(b) 需要のすべてをゼロエミッション技術で賄う 附属書IIIの要件を満たし、委任法令・実施法令に明示された技術
(c) 予定になかった寄港 予見できない事情、常態的でないこと、安全または海上人命救助
(d) 接続点がない 利用できる接続点がその港にないこと
(e) 電力系統の安定性が危険 停泊中に必要な電力に比べて陸上電力が不足していること
(f) 設備が適合しない 船上の設備が規則(EU)2023/1804附属書IIの技術仕様で認証されていること
(g) 緊急事態・不可抗力 生命・船舶・環境への差し迫った危険であり、期間が限られること
(h) 保守試験・機能試験 接続は維持したまま、権限のある機関の職員や承認された団体の代表の要請

(d)と(e)と(f)は船が接続しようとしてできなかった場合で、(g)と(h)は接続と関わりなく船内発電が 必要になった場合です。(a)と(c)は寄港そのものの性質で外れます。船があらかじめ選んで作る状態は (b)だけです。

(b)のzero-emission technologiesは附属書IIIに表として置かれ、欧州委員会が委任法令で技術を 加えられます。受入れの基準は実施法令が定めます。一覧にない技術ではこの扉は開きません。燃料を 変えて得る利益は第6条ではなく別の条文から返ってきます。

  1. For the calculation of the GHG intensity of the energy used on board by a ship, from 1 January 2025 to 31 December 2033 a multiplier of ‘2’ can be used to reward the ship for the use of RFNBO. The methodology for this calculation is set out in Annex I.

第5条はRFNBOを使った船に乗数を付けて温室効果ガス強度の計算で報います。計算の中で受ける報いで あって、岸壁で船内の発電機を回してよいという意味ではありません。

2035年から三つの事由には寄港数の上限が掛かります

  1. From 1 January 2035, in ports falling under the requirements of Article 9 of Regulation (EU) 2023/1804, it shall only be possible to apply the exceptions provided for in paragraph 5, points (d), (e) and (f) to a maximum number of port calls corresponding to 10 % of a ship’s total number of port calls that took place during a reporting period, rounded up to the nearest whole number, where relevant, or to a maximum of 10 port calls during the relevant reporting period, whichever is lower.

上限が掛かるのは(d)と(e)と(f)です。船が接続しようとしてできなかった三つがそのまま上限の対象 です。値は二つの数のうち小さい方です。報告期間中のその船の総寄港数の10%(必要なら切り上げ)と、 10回です。

数えない寄港もあります。会社が第8項の情報交換に基づいて接続できないことを合理的に知り得な かったと証明すれば、その寄港は外れます。証明の材料を条文が指定しているわけです。

例外を使うには入港前の通報が残っていなければなりません

  1. Ships shall inform in advance the competent authority of the Member State of the port of call or any duly authorised entity prior to entry into ports about their intention to connect to OPS or their intention to use a zero-emission technology in application of paragraph 5, point (b). Ships that intend to connect to OPS shall also indicate the amount of power they expect to require during that port call.

船が入港前に知らせるのは二つです。一つはOPSに接続する意図か(b)のゼロエミッション技術を使う 意図かで、もう一つは接続するならその寄港中に必要と見込む電力量です。通報を受けた機関は接続が 可能かを船に確認します。

このやり取りが前節で見た証明の材料です。接続すると知らせ、可能だという回答を受けたのに岸壁で 接続できなかったなら、会社は前もって知り得なかった側に置かれます。知らせていなければその材料が ありません。

判定と記録は船がしません。寄港地の加盟国の権限のある機関または正当に権限を与えられた機関が、 遅滞なくFuelEUデータベースに記録します。第5項の例外が適用されたことと、例外が一つもないのに 第1項・第2項・第3項を守らなかったことです。ですから船が残すべきものは、例外に当たるという自ら の判断ではありません。入港前に何を知らせ何を受け取ったか、そしてその寄港の到着時刻と出発時刻 です。

確認しておくこと

上の引用は規則(EU)2023/1805の第6条と第5条から取りました。どの港が一つ目の日付に掛かるかは 規則(EU)2023/1804第9条が定め、ゼロエミッション技術として認められる範囲は欧州委員会の委任法令 と実施法令が埋めます。加盟国が施行日を前倒ししたか、錨泊まで広げたかは、欧州委員会が公開する 一覧で確認します。その寄港地がどの一覧にあるか、その岸壁に接続設備があるか、入港前の通報を どこへ送るかが、実際の判断の出発点です。

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二時間の例外も寄港数の上限も、結局は到着時刻と出発時刻から出ます。Bellbookは入出港の報告にその二つの時刻を受け取り、船ごとに寄港の記録を残します。

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