本文へスキップ
Bellbook ブログ
船員・労務

証書の再有効化の5年間隔と乗船履歴要件の二つの道(STCW条約第I/11規則)

2026-08-07

一等航海士が陸上勤務を終えて再び船に戻るとします。海技免状に記された有効期限はまだ残って います。ではその免状だけを見て乗せてよいのか。STCW条約第I/11規則は、この問いに日付ではなく 間隔で答えます。

間隔は5年です。その窓の中で証明し直すものは一つではなく二つあり、そのうちの一つである継続的な 職務能力は乗船履歴で証明できますが、その乗船履歴がさらに二つに分かれます。第I/11規則と STCWコードA-I/11節の文章をたどって、その分かれ目を押さえます。

5年は証書に記された有効期限ではなく、証明をやり直す間隔です

1 Every master, officer and radio operator holding a certificate issued or recognized under any chapter of the Convention other than chapter VI, who is serving at sea or intends to return to sea after a period ashore, shall, in order to continue to qualify for seagoing service, be required, at intervals not exceeding five years, to:

この一文が対象と範囲を同時に定めています。

  • 対象はmaster、officer、radio operatorです。部員はこの条文が呼ぶ人ではありません。
  • 証書の範囲はissued or recognizedです。旗国が発給した証書と他国の証書を認めた場合が同時に掛かります。
  • 条約のchapter VIの下で出た証書は外れます。そちらの更新は別の条文が担います。
  • いま船にいる人だけでなく、陸上の期間を終えて戻ろうとする人も入ります。

at intervals not exceeding five yearsは周期ではなく上限です。二度の証明の間が5年を超えては ならないという意味です。ですから陸上勤務が長引いた人には、証書の有効期限よりこの間隔が先に 掛かります。

健康の基準と継続的な職務能力は互いの代わりになりません

.1 meet the standards of medical fitness prescribed by regulation I/9; and .2 establish continued professional competence in accordance with section A-I/11 of the STCW Code.

二つの行をつなぐ語がandです。一方を満たしたからといって他方が満たされることはありません。

健康の基準は第I/9規則が定め、継続的な職務能力はSTCWコードA-I/11節が定めます。条文が違い、 証明する書類も違います。新しい健康証明書を取ってきたからといって船に乗っていた証明にはならず、 乗船履歴を十分に満たしても健康の基準は別に見ます。二つの要件はそれぞれの暦の上で動きます。

乗船履歴は一つの数字ではなく二つの窓として与えられます

1 Continued professional competence as required under regulation I/11 shall be established by: .1 approved seagoing service, performing functions appropriate to the certificate held, for a period of at least: .1.1 twelve months in total during the preceding five years, or .1.2 three months in total during the preceding six months immediately prior to revalidating; or

.1.1.1.2の間にorがあります。両方を満たす必要はありません。ところが二つの選択肢は 数える窓の長さも、求める合計も違います。

選択肢 数える窓 満たすべき合計
.1.1 再有効化直前の5年 十二か月
.1.2 再有効化直前の六か月 三か月

長い窓は合計十二か月を求め、短い窓は三か月で足ります。ですから陸上に長くいた人でも、再有効化 直前の六か月の中で三か月乗ればこの要件は通ります。逆に5年の間に何度も乗っていても、合計が 十二か月に届かなければこの道では通りません。

条文が乗船履歴に付けた二つの修飾語も一緒に見る必要があります。approvedperforming functions appropriate to the certificate heldです。前者は旗国が認める形の履歴で なければならないという意味であり、後者は船にいたという事実だけでは足りないという意味です。 基準は乗っていた期間ではなく職務です。

窓を満たせないときは試験と承認された課程がその位置に入ります

.2 having performed functions considered to be equivalent to the seagoing service required in paragraph 1.1; or .3 passing an approved test; or .4 successfully completing an approved training course or courses; or .5 having completed approved seagoing service, performing functions appropriate to the certificate held, for a period of not less than three months in a supernumerary capacity, or in a lower officer rank than that for which the certificate held is valid immediately prior to taking up the rank for which it is valid.

四つの道がすべてorでつながっています。乗船履歴は継続的な職務能力を証明する五つの道のうちの 一つにすぎません。

.2はその乗船履歴と同等と認められる職務を果たした場合です。.3は承認された試験に合格する道、 .4は承認された教育課程を修了する道です。.5は再び乗船履歴ですが条件が違います。三か月以上を 定員外(supernumerary)で乗るか、その証書が有効な職級より低い職員の職級で乗り、しかもその 職級に就く直前でなければなりません。

三か所にapprovedが付いています。試験も、課程も、.5の乗船履歴も承認を受けたものでなければ なりません。会社が自前で作った社内教育を修了した記録はこの位置に入りません。承認された再訓練 および更新の課程には、海上人命安全、保安、海洋環境の保護に関する国内および国際の規則の変更が 含まれ、能力の基準が更新されていればそれも反映されなければなりません。

締約国に向けた文もあります。締約国は2017年1月1日より前に発給した証書の能力の基準をSTCWコード A部と照らし合わせ、その保有者に再訓練や評価を求める必要があるかを判断します。

タンカーは同じ5年の中でもう一度証明する必要があります

第I/11規則の第3項は、タンカーで乗船を続けるには第1項の要件を満たしたうえで、さらに5年を超えない 間隔でタンカーの継続的な職務能力を証明せよと書いています。タンカーの証明が一般の証明の代わりに なるのではなく、その上に載ります。

3 Continued professional competence for tankers as required under regulation I/11, paragraph 3 shall be established by: .1 approved seagoing service, performing duties appropriate to the tanker certificate or endorsement held, for a period of at least 3 months in total during the preceding 5 years; or .2 successfully completing an approved relevant training course or courses.

前の節の五つの道がここでは二つに減ります。乗船履歴で行くなら直前5年で合計三か月であり、その 職務は保有するタンカー証書または承認に合っていなければなりません。その三か月を満たせなければ、 残る道は承認された関連課程の一つだけです。

窓の長さは5年で同じなのに、合計は十二か月ではなく三か月です。一人の書類の中で二つの計算が 別々に回ります。

確認しておくこと

上の引用はSTCW/CONF.2/33の第I/11規則(印刷13〜14ページ)とSTCW/CONF.2/34のA-I/11節 (印刷25〜26ページ)から取りました。条文が定めるのはここまでです。何を承認されたものと見るか、 乗船履歴をどの書類で証明させるか、再訓練の課程を誰がどの周期で開くかは旗国が定めます。 再有効化の申請をどの機関に出すか、六か月の道を実際に受け入れるかも旗国ごとに分かれます。 その船の旗国が出した行政指針が、実際の判断の出発点です。

Bellbookは証書の有効期限と乗下船の記録を一人のカードの中に一緒に置きます

再有効化は証書に記された日付だけを見て判断できるものではありません。Bellbookは人事記録カードに資格証書と健康証明書の有効期限を置き、乗下船の記録でその人がいつどの船にどれだけ乗っていたかを残します。

無料で始める

関連記事

← 記事一覧へ