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検査・審査

船舶リスクプロファイルが定める検査の窓と、必ず検査になる事由(EU指令2009/16)

2026-07-21

EUの港に入る船がいつ検査を受けるかは、その船のリスクプロファイルが定めます。ところがプロファイル が定めるのは間隔だけではなく、間隔も一つの数字ではなく窓です。指令2009/16とその附属書Iが、その窓 の両端をそれぞれ別に定めています。

プロファイル一つが三つを定めます

All ships calling at a port or anchorage of a Member State shall, in the inspection database, be attributed a ship risk profile which determines their respective priority for inspection, the intervals between the inspections and the scope of inspections.

検査の優先度、検査の間隔、そして検査の範囲です。プロファイルが悪ければ、より頻繁に来るだけで 終わらず、一度来たときにより広く見ます。

プロファイルを作るパラメータは三筋です。船種・船齢・旗国・関与した認定団体・会社の実績で作る一般 パラメータ、一定期間の欠陥件数と抑留件数で作る履歴パラメータ、そして海洋汚染防止関係の条約の欠陥 件数で作る環境パラメータです。

会社の実績が一般パラメータに入っている点が実務では重い。一隻の履歴がその会社の他の船へ及ぶ経路が 条文の中にあります。

検査の間隔は数字ではなく窓です

The interval between periodic inspections of high risk ships shall not exceed six months. The interval between periodic inspections of ships of other risk profiles shall increase as the risk decreases.

附属書Iがこの一文をプロファイルごとの数字に解きます。ところが数字が二つずつ出てきます。検査対象 になり始める時点と、超えてはならない上限です。

リスクプロファイル 検査対象となる時点 前回検査からの上限 窓の長さ
高リスク 五か月目から 六か月 一か月
標準リスク 十か月目から 十二か月 二か月
低リスク 二十四か月目から 三十六か月 十二か月

窓の長さがリスクに反比例します。高リスク船は対象になってから一か月のうちに検査が掛かり、低リスク 船は対象になってからも一年の幅が残ります。ここで数える基準がEUの港ではなくEUまたはパリ了解 覚書地域での前回検査である点も併せて見る必要があります。

裁量なく検査が掛かる事由が別にあります

附属書Iが事由を二つの束に分けます。前の束はshall be inspected、すなわち前回の定期検査からの期間 と関係なく必ず検査します。

  • 前回検査以後、安全上の理由で船級が停止または撤回された船
  • 他の加盟国の報告または通報の対象となった船
  • 検査データベースで識別できない船
  • 入港途上で衝突・座礁・乗揚げのあった船
  • 有害物質または汚水の排出規定の違反を疑われた船
  • IMOが採択した航路指定措置や安全な航行の慣行に従わず、不規則または危険な操船をした船
  • 以前に入港拒否を受けた船(拒否命令が解除された後の最初の検査)
  • 船内の大火災、機関故障、死亡事故といった重大な事故に関係した船

後の束は検査官の判断に委ねられています

後の束はmay be subject to inspectionです。検査できますが、その決定は権限のある機関の専門的判断 に委ねられます。この一覧には実務で掛かりやすい項目がいくつかあります。

Ships which have been the subject of a report or complaint, including an onshore complaint, by the master, a crew member, or any person or organisation with a legitimate interest in the safe operation of the ship, on-board living and working conditions or the prevention of pollution, unless the Member State concerned deems the report or complaint to be manifestly unfounded.

申立ての主体に船長と乗組員が含まれ、陸上で受け付けられた苦情も入ります。そして外へ押し出される のは、加盟国が明らかに根拠がないと見る場合だけです。

是正の状況に直結する項目も二つあります。指摘の発行から三か月たっても残っているISMの欠陥が報告 された船、そして三か月より前に抑留されたことのある船です。ここにもう一つ付きます。

Ships for which a plan of action to rectify deficiencies as referred to in Article 19(2a) has been agreed but in respect of which the implementation of that plan has not been checked by an inspector.

是正の行動計画に合意したものの、その実施を検査官がまだ確認していない船です。計画書で出港した後に 実施確認が残っていれば、その事実自体が次の検査の事由になります。

選定は二つの等級で出ます

権限のある機関はリスクプロファイルと上の事由に従って船を選びます。そして選んだ結果が二つの等級に 分かれます。検査が義務である船がPriority Iで、検査の対象となり得る船がPriority IIです。前者は 選定体系上必ず選び、後者は選ぶことができます。

確認しておくこと

上の引用は指令2009/16とその附属書Iから取りました。プロファイル算定の詳細な方法は、パリ了解覚書で 採択された旗国基準と会社実績基準を反映して、欧州委員会が実施法令で定めます。その船の前回検査が いつどこであったか、会社の実績がどの区分にあるか、そして三か月を超えて開いている指摘が残っている かが、実際の判断の出発点です。

BellbookはPSCの指摘とその是正状況を船ごとに続けて残します

三か月たっても閉じないISMの指摘は、それ自体が次の検査を呼ぶ事由になります。Bellbookは指摘ごとに期限と是正状況を付けて船別に積むので、長く開いている件が一覧の先に出ます。

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