MLC附録A5-Iの証書発給前に検査・承認する項目と、検査官の書類要求の範囲

MLC, 2006の付録A5-Iは、海上労働証書の発給前に検査・承認する十六項目を定めます。検査準備では、この一覧と船舶の海上労働適合申告書を確認します。
十六項目は人事、給与、配乗、設備、契約の記録にまたがります。検査準備では各担当の記録をまとめて確認できるようにします。
この記事は、その一覧を会社が散らして管理している記録に対応させ、検査官がその記録をどこまで 要求できるのかを見ます。
附録は検査だけでなく承認まで求めます
The working and living conditions of seafarers that must be inspected and approved by the flag State before certifying a ship in accordance with Standard A5.1.3, paragraph 1:
動詞が二つです。inspectedとapprovedです。検査官が見て通り過ぎるだけでは終わりません。旗国が
承認して初めて証書が出ます。そしてその時点をbefore certifying a shipと釘付けにしています。証書
発給の手前に置かれた関門です。
一覧は次のとおりです。
- 最低年齢
- 健康証明書
- 船員の資格
- 船員の雇用契約
- 許可・認証・規制を受けた民間の船員紹介事業の利用
- 労働時間または休息時間
- その船の定員
- 居住設備
- 船内娯楽設備
- 食料および司厨
- 安全衛生および災害防止
- 船内医療
- 船舶内における苦情に関する手続
- 賃金の支払
- 送還に関する財政的保証
- 船舶所有者の責任に関する財政的保証
各行は、条約が別の場所ですでに定めている主題の名前です。附録が新しい義務を作るわけではありません。 すでにある義務の中から、証書を出す前に必ず確かめるものを選んで一か所に集めただけです。
条約の記録義務とDMLCの実施措置を併せて確認します
A5.1.4第1項により、検査官は条約への適合とDMLC記載措置の実施を確認します。休息記録の確認は会社が任意に加えた要件だけではありません。A2.3第12項自体が日々の労働・休息記録と、船長または権限を与えられた者および船員が確認した写しの交付を求めます。
DMLCが記録担当者・作成手順・確認周期を具体化している場合は、実際の記録と手順も照合します。国際基準の義務と会社による実施方法を区別します。
資料の所在と継続的な更新を管理します
船員別に年齢・健康・資格・契約・休息・賃金、船別に配員・居住設備・食料・飲料水・医療・安全・苦情手続を確認します。職業紹介と金銭上の保証は契約資料を船内の証拠に結び付けます。
下船によって記録保管義務が自動的に終わるわけではありません。設備・物資・手順も検査の間に維持・更新します。送還と船主責任の保証書類には船内備付けと見やすい場所への写しの掲示要件もあります。契約資料をすべて陸上に置くだけでは足りません。
検査官は帳簿と証書の提出を要求できます
(c) to require the production of any books, log books, registers, certificates or other documents or information directly related to matters subject to inspection, in order to verify compliance with the national laws and regulations implementing this Convention;
この文は指針B5.1.4にあります。強制規定ではなく、旗国が参考にする指針です。ただし基準A5.1.4の 第7項が、必要と判断する検査と試験と調査を行う権限をすでに検査官に与えています。指針は、その権限が 実際に何を呼ぶのかを解いて置いた場所です。
同じ指針の別の項目が要求の範囲をさらに広げます。事前の通告なしに自由に乗船すること、船長と船員と 船舶所有者とその代理人に質問すること、そして飲料水と食料と資材の試料を分析のために採取することです。 最後の項目が附録の食料および司厨の行にそのまま届きます。
試料を採取するときは船舶所有者かその代理人に通知するかその場に立ち会わせ、検査官が数量を記録します。 要求の範囲が広い分、その要求に手続が付いています。
欠陥が出たら、まず来るのは通知です
(f) following an inspection, to bring immediately to the attention of the shipowner, the operator of the ship or the master, deficiencies which may affect the health and safety of those on board ship;
immediatelyが付いています。報告書が出るまで待ちません。受け取る側も三つと書かれています。
船舶所有者、船舶の運航者、船長です。
基準A5.1.4の第7項がここから一段先に行きます。検査官は欠陥の是正を要求できます。そしてその欠陥が 条約要件の重大な違反であるか、船員の安全と健康と保安に重大な危険となると信じる根拠があれば、必要な 措置が終わるまで出港を止めることができます。
その次の段は旗国の分担です。
- Adequate penalties and other corrective measures for breaches of the requirements of this Convention (including seafarers’ rights) and for obstructing inspectors in the performance of their duties shall be provided for and effectively enforced by each Member.
制裁の対象が二つ書かれています。条約要件の違反と、検査官の職務の妨害です。二つ目が別に書かれて いるということは、先に見た書類の要求に応じないこと自体が別個の制裁の対象になるという意味です。 一覧と権限と制裁が一本につながります。
確認しておくこと
上の引用はMLC, 2006統合版(2022年改正を含む)の印刷88ページから91ページまでと102ページから 取りました。附録A5-Iと基準A5.1.4は強制規定で、指針B5.1.4はそうではありません。十六行のそれぞれに 何を備えるべきかは旗国の法令が埋めます。
その船の旗国がDMLCにどの条項を書き入れているか、検査を承認された団体に委ねているか、検査官が事前の 通告なしに来るかが、実際の準備の出発点です。
検査項目を会社の手順と実際の記録まで結び付けます
以下は証書発給前の準備に使う三項目の照合例で、附録全体を代替しません。正しい名称の文書があることと、その手順を実施した証拠があることを分けて確認します。
| 検査項目 | 結び付ける会社手順 | 照合する実際の証拠 |
|---|---|---|
| 労働・休息時間 | 適用基準、記録の確認、不足時の業務調整 | 署名済み実績記録、呼出し・訓練記録、その後の休息 |
| 募集・職業紹介 | 利用する紹介所の適合確認と費用確認 | 紹介所の確認資料、船員への請求の項目別明細 |
| 送還の金銭的保証 | 保証の維持、船内備付け・掲示、連絡手順 | 有効な保証文書、船舶識別情報、実際の掲示と連絡可能性 |
DMLC Part Iの国内要件からPart IIの実施措置、実際の記録へとたどれるようにします。手順に定期確認があるのに実施記録がなければ、チェック印を足すのではなく、未実施の内容を確認して是正します。
引用した原文を直接確認できます
以下は、この記事で扱う文書の公式発行元へのリンクです。本文に記載した版と条項を照合し、実際の適用前にその後の改正と旗国の実施要件を確認してください。
関連する業務の解説も確認できます
十六行は会社の中で人事と賃金と休息時間と証書に散らばっています。Bellbookは船員の人事記録カードと休息時間の記録と証書の満了日を船別に同じ場所に置くので、検査官が一行ずつ尋ねるときに書類を探し回らずに済みます。
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