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環境・規制

FuelEUの温室効果ガス強度上限と、赤字を埋める三つの道(EU規則2023/1805)

2026-07-30

FuelEUは排出の総量ではなく、船内で使うエネルギーの温室効果ガス強度を規律します。一年の平均が上限 を超えれば赤字になりますが、規則はその赤字を埋める道を三つ開き、それぞれに別の制限を付けています。

上限は基準値を年ごとの割合で削って作ります

  1. The limit referred to in paragraph 1 shall be calculated by reducing the reference value of 91,16 grams of CO2 equivalent per MJ by the following percentage:
適用の時点 基準値から削る割合
2025年1月1日から 2%
2030年1月1日から 6%
2035年1月1日から 14,5%
2040年1月1日から 31%
2045年1月1日から 62%
2050年1月1日から 80%

基準値はMJあたり二酸化炭素換算91,16グラムです。規律の対象が年間の平均である点も併せて見る必要が あります。一つの航海が悪かったからといってすぐ赤字になるのではなく、一年を平均した値で判断します。

強度そのものは附属書Iの方法論に従い、エネルギー単位あたりの温室効果ガス排出量として計算します。

一つ目の道は繰越で、締切は書類の発給です

黒字が出れば、同じ船の次の報告期間の残高へ繰り越せます。繰越はFuelEUデータベースに記録し、検証者 の承認を受けます。ところが、その扉がいつ閉じるかが条文に書かれています。

The company may no longer bank the compliance surplus once the FuelEU document of compliance has been issued.

適合書類が発給された後は繰り越せません。書類の発給前に繰越を決めなければならないという意味です。

二つ目の道は前借りで、利息が付きます

赤字が出れば、次の報告期間からその分の黒字を前もって引いてこられます。ただし返す量が借りた量より 多くなります。

The advance compliance surplus shall be added to the ship’s compliance balance in the reporting period and the advance compliance surplus multiplied by 1,1 shall be subtracted from the same ship’s compliance balance in the following reporting period.

引いてきた分を今期の残高に足し、次期ではその値に1,1を掛けた量を引きます。先送りの代価が条文に数字 で打ち込まれています。

制限も二つ付きます。一つは大きさです。第4条第2項の上限にその船のエネルギー消費を掛けた値の2%を 超える量は借りられません。もう一つは回数です。連続する二つの報告期間については借りられません。 赤字を先送りし続ける経路が塞がれています。

三つ目の道はプーリングで、有効の条件が三つです

二隻以上の船の遵守残高を合わせて要件を満たすことができます。ただし一隻の残高は同じ報告期間に二つ 以上のプールへ入れられません。温室効果ガス強度の目標用のプールと再生燃料の副目標用のプールは別に 置けます。

  1. A pool is valid only if the total pooled compliance is positive, if ships which had a compliance deficit as calculated in accordance with Article 16(4) do not have a higher compliance deficit after the allocation of the pooled compliance, and if ships which had a compliance surplus as calculated in accordance with Article 16(4) do not have a compliance deficit after the allocation of the pooled compliance.

三つの条件をほどくとこうなります。合算した遵守が正であること、赤字だった船が配分の後に赤字をより 大きくしないこと、そして黒字だった船が配分の後に赤字にならないことです。後の二つは、プールが特定 の船に負担を押し付けるのに使われないよう塞ぎます。

手続もデータベースを通ります。会社は、プールに入れる意思と、総残高の船別の配分と、その配分を検証 する検証者の選択をFuelEUデータベースに登録します。プールに入る船が二つ以上の会社に属する場合は、 関係する会社すべてがその内容をデータベースで確認しなければなりません。

プールに入れない船もあります。第24条の義務を守っていない船です。

三つの道の後に、検証者が残高を記録します

検証期間の5月1日より前に、検証者は第20条と第21条を適用した後の検証済み遵守残高をFuelEUデータベース に記録します。繰越と前借りとプーリングがその前に片付いていなければならないという意味です。

確認しておくこと

上の引用は規則2023/1805から取りました。強度の計算の方法論と排出係数は附属書が定め、欧州委員会が 委任法令で新しいエネルギー源の係数を加えたり既存の係数を直したりできます。その船の今期の残高が黒字 か赤字か、前の期間に前借りをしたか、そしてプールを組む別の船が同じ会社の中にあるかが、実際の判断の 出発点です。

Bellbookは船ごとの燃料消費を船隊単位でまとめて並べて見せます

プーリングは、どの船が黒字でどの船が赤字かを同じ基準で並べて初めて決められます。Bellbookは各船から上がった燃料消費を船隊の一覧にまとめるので、船隊全体の絵が一つの画面に載ります。

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