船員の最低年齢と18歳未満の夜間労働制限(MLC規則1.1)
2026-07-10

海事高校の三年生が実習生として乗船するとします。年齢が17歳なら船で何をさせてよく、何を させてはいけないのか、0時から4時までの当直に立たせてよいのか。MLC, 2006の規則1.1と 基準A1.1は、この問いに年齢の区分で答えます。区分は二つです。16歳と18歳です。
16歳未満には頼れる例外条項がありません
- The employment, engagement or work on board a ship of any person under the age of 16 shall be prohibited.
雇用も、乗船契約も、作業も、すべて禁止です。三つの語を並べたのは、契約の形を変えて抜ける道を
塞ぐためです。無給の実習であれ、家族が連れて乗せたのであれ、船で働けば
work on board a shipに入ります。
この区分には例外が付いていません。後に出てくる夜間労働の例外は18歳の区分にだけ付きます。
18歳未満にとって夜間は少なくとも九時間です
- Night work of seafarers under the age of 18 shall be prohibited. For the purposes of this Standard, “night” shall be defined in accordance with national law and practice. It shall cover a period of at least nine hours starting no later than midnight and ending no earlier than 5 a.m.
夜間の定義は旗国の法令と慣行が定めます。ところが条文がその定義に下限を敷いています。長さは 九時間以上でなければならず、開始は真夜中より遅くできず、終了は午前5時より早くできません。
三つの条件を重ねると、どの国の法を当てても必ず夜間に入る時間帯が現れます。真夜中から午前5時 までです。開始が真夜中より後ろにずれず、終了が午前5時より前に引けない以上、この五時間は どの定義からも外れません。九時間を満たすには前後に四時間が加わりますが、その四時間をどこに 置くかが旗国の実際に決める部分です。
0時から4時までの当直はこの五時間の真ん中にあります。18歳未満の実習生をここに立たせることは、 例外を受けない限り条文に阻まれます。
夜間の例外は会社ではなく権限のある機関が開けます
- An exception to strict compliance with the night work restriction may be made by the competent authority when:
例外を作る主体はthe competent authorityです。船社でも船長でもありません。そして事由が二つに
限られています。
| 事由 | 条文が求めるもの |
|---|---|
| (a) 定められた計画と日程による実効的な訓練が妨げられる場合 | 訓練計画と日程が先に存在していなければなりません |
| (b) 職務の特殊な性質または認定された訓練計画が夜間の勤務を必要とする場合 | 船舶所有者団体および船員団体との協議を経て、健康と福祉に有害でないという機関の判断が必要です |
(b)には協議と判断が条件として付き、(a)には付いていません。その代わり(a)は訓練が妨げられる という事実そのものを前提とするため、乗船前に組んだ実習計画がなければ根拠になりません。 どちらにしても、船でその日に判断できる性質のものではありません。
18歳未満に禁止される作業の一覧は旗国が作ります
- The employment, engagement or work of seafarers under the age of 18 shall be prohibited where the work is likely to jeopardize their health or safety.
条文は禁止の基準だけを定め、一覧は渡します。どの作業がこれに当たるかは、旗国の法令または 権限のある機関が、船舶所有者団体および船員団体と協議のうえ、関連する国際基準に従って 定めます。
実務でこの構造が意味することは一つです。その船の旗国が一覧を作っていないからといって制限が 消えるわけではありません。禁止そのものは条約本文にあり、一覧はその禁止を具体化する装置です。 一覧がなければ、会社が関連する国際基準を読んで判断する場になります。
年齢を通っても基本安全訓練を終えなければ乗船できません
年齢は敷居の一つにすぎません。規則1.3がもう一つの敷居を置きます。
- Seafarers shall not be permitted to work on a ship unless they have successfully completed training for personal safety on board ship.
船内の個人の安全に関する訓練を成功裡に終えていなければ、船で働くことはできません。そして 規則1.3の第3項が、IMOが採択した強制文書による訓練と証明をこの要件を満たすものとして扱います。 実務ではSTCWの基本安全訓練の証書がその場を埋めます。
実習生にはこの組み合わせがそのまま掛かります。年齢が16歳を超えているか、18歳未満なら当直の 時間帯が夜間に入るか、基本安全訓練の証書が乗船前に出ているか。三つがそれぞれ別の条文から 来るため、一つだけ確認して進むと残りが残ります。
確認しておくこと
上の引用はMLC, 2006統合版(2022年改正を含む)の印刷17ページと19ページから取りました。 基準A1.1は強制規定ですが、夜間の正確な時刻、18歳未満に禁止される作業の一覧、そして夜間例外の 発給手続は、すべて旗国の法令が埋めます。その船の旗国で夜間が何時から何時までなのか、禁止 作業の一覧が告示されているか、例外をどこに申請するかが、実際の判断の出発点です。
年齢制限は乗組員名簿の生年月日と実際の勤務時間帯を突き合わせて初めて確認できます。Bellbookは人事記録カードに生年月日を置き、休息時間の記録が何時から何時まで休んだかをそのまま残します。
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