船員の苦情の陸上での受付手続と旗国・ILOへ上がる段階(MLC基準A5.2.2)

船員は寄港地の権限ある職員に苦情を申し立てることができます。船内手続を利用したかどうかは初期調査で考慮されますが、受理の一律の前提条件ではありません。
MLC, 2006の規則5.2.2と基準A5.2.2は調査と通報の手続を定めます。船内手続を先に完了しなくてもよい場合も規定しています。
寄港地の権限ある職員に苦情を申し立てられます
MLC A5.2.2第1項は、船員が寄港地の権限ある職員に条約違反の疑いを申し立てられるよう定めます。職員は初期調査を行います。船長や会社の許可は申立ての条件ではありません。
船内の手続を経たかは見るものであって、受付の条件ではありません
Where appropriate, given the nature of the complaint, the initial investigation shall include consideration of whether the on-board complaint procedures provided under Regulation 5.1.5 have been explored. The authorized officer may also conduct a more detailed inspection in accordance with Standard A5.2.1.
文が求めているのはconsiderationです。船内の手続を経たかを最初の調査で見るという意味であって、
経なければ受け付けないという意味ではありません。前にもう一つ条件が付いています。
Where appropriate, given the nature of the complaintです。事案の性質によっては、その見ること
自体を行わないことがあります。
飛ばせる場所は、指針が理由と一緒に書いています。
There should be good reasons for considering a complaint before any on-board complaint procedures have been explored. These would include the inadequacy of, or undue delay in, the internal procedures or the complainant’s fear of reprisal for lodging a complaint.
船内手続を使わない正当な理由には、手続の不備、不当な遅延、報復のおそれがあります。会社が手続を整備していても、船員に報復への不安がある可能性は残ります。
苦情の範囲に応じて次の手続が変わります
Where a complaint referred to in Standard A5.2.2 is dealt with by an authorized officer, the officer should first check whether the complaint is of a general nature which concerns all seafarers on the ship, or a category of them, or whether it relates only to the individual case of the seafarer concerned.
まず分けるのは苦情の範囲です。そして分かれた側によって次の段階が変わります。
| 苦情の性質 | 指針が勧める次の段階 |
|---|---|
| 船全体または一部の区分の船員に関わる一般的なもの | 基準A5.2.1に従ったより詳細な検査を検討します |
| その船員一人の個別の事案 | 船内の手続の結果を調べ、使っていなければ利用するよう勧めます |
調査や検査で基準A5.2.1第6項に該当する不適合が見つかれば、同項の出港制限が適用されます。
船内で解決しなければ旗国が期限内に答えなければなりません
職員は、適当な場合には船内の段階で苦情が解決するよう促します。調査では船長と船舶所有者、その ほか苦情に関係する者に見解を述べる適切な機会を与えなければなりません。一方の言い分だけで進む 構造ではありません。
船内で解決しなければ次の段階が開きます。
Where the provisions of paragraph 4 of this Standard do not apply, and the complaint has not been resolved at the ship-board level, the authorized officer shall forthwith notify the flag State, seeking, within a prescribed deadline, advice and a corrective plan of action.
二つの条件が重なるときに旗国へ移ります。前の節の不適合の経路が適用されないこと、そして船内の 段階で解決していないことです。旗国に求めるものも二つです。助言と是正のための行動計画であり、 定められた期限が付きます。
職員が手を引くことができる場所は指針に書かれています。旗国が自ら処理すると示し、そのための 実効的な手続を備えており、受け入れられる行動計画を提出したときです。三つが揃っている必要が あります。
未解決の苦情はILO事務局長へ報告します
A5.2.2第6項の後続手続でも解決しない場合、寄港国は職員の報告書をILO事務局長へ送付します。期限内に旗国の回答があれば添付し、寄港国の関係船主・船員団体にも通知します。解決済み苦情の統計と情報も定期的に提出します。
苦情の秘密を保護します
A5.2.2第7項は船員の苦情の秘密を守る適切な措置を求めます。受付記録・面談・情報共有で申立人が不必要に明らかにならないよう管理します。この国際基準だけで全港の受付・面談手続が同一とはいえません。
確認すること
本稿はMLC規則5.2.2・基準A5.2.2・指針B5.2.2の国際的枠組みを説明します。Part Aは強制規定、Part Bは指針です。苦情の範囲に応じた推奨手続と旗国対応を受け入れる条件を、強制要件と区別します。具体的な受付先と回答期限は権限ある機関に確認します。
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苦情が受け付けられたときに確かめられるのは主張ではなく記録です。Bellbookは休息時間の記録と違反判定、給与の計算内訳、雇用契約を船員ごとに置くので、問われたその場で出せます。
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