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検査・審査

寄港国の詳細検査が開く四つの事由と出港停止の敷居(MLC規則5.2.1)

2026-07-17

寄港国の検査官が乗船したとき、検査がどこまで行くかは最初から決まっていません。扉がいくつも あり、順に開きます。MLC, 2006の規則5.2.1と基準A5.2.1が、その扉ごとに条件を付けています。この 記事は扉が開く順をたどります。

最初の扉は証書の確認で閉じます

  1. Each Member shall accept the maritime labour certificate and the declaration of maritime labour compliance required under Regulation 5.1.3 as prima facie evidence of compliance with the requirements of this Convention (including seafarers’ rights). Accordingly, the inspection in its ports shall, except in the circumstances specified in the Code, be limited to a review of the certificate and declaration.

海上労働証書と海上労働遵守措置認定書がprima facie evidence、つまり一応有効な証拠として受け 入れられます。ですから港内の検査は原則として、その二つの書類を確認するところで終わります。

範囲にはもう一つ制限があります。検査は、条約の条文と規則、そしてコードのうちPart Aのみに 定められた要件への適合を確かめることに限られます。Part Bは指針なので、それ自体が指摘の根拠に なりません。

詳細検査へ進む扉は四つです

事由 内容
(a) 求められた書類が提示されず、維持されず、虚偽に維持され、条約が要求する情報を含まず、またはその他の理由で無効である場合
(b) その船の労働・生活条件が条約の要件に適合していないと信じる明白な根拠がある場合
(c) 条約の遵守を回避する目的で船籍を変更したと信じる合理的な根拠がある場合
(d) その船の特定の労働・生活条件が条約の要件に適合していないという申立てがある場合

ここまではmayです。詳細検査ができるという意味であって、しなければならないという意味では ありません。ところが同じ項の末尾に、必ず行わせる条件が付きます。

Such inspection shall in any case be carried out where the working and living conditions believed or alleged to be defective could constitute a clear hazard to the safety, health or security of seafarers or where the authorized officer has grounds to believe that any deficiencies constitute a serious breach of the requirements of this Convention (including seafarers’ rights).

欠陥と信じられ、または主張された条件が船員の安全・健康・保安に明白な危険となり得る場合、または 検査官が重大な違反であると信じる根拠がある場合です。このときは裁量がなくなります。

どの事由で開いたかが詳細検査の範囲を決めます

(a)と(b)と(c)で開いた詳細検査は、原則として付録A5-IIIに掲げる事項を扱います。一方、(d)で開いた 詳細検査は違います。

  1. In the case of a complaint under paragraph 1(d) of this Standard, the inspection shall generally be limited to matters within the scope of the complaint, although a complaint, or its investigation, may provide clear grounds for a detailed inspection in accordance with paragraph 1(b) of this Standard.

申立てで開いた検査は、原則としてその申立ての範囲の中に収められます。ただし、その申立てや調査の 過程で(b)の明白な根拠が生じれば範囲が広がります。狭く始まった検査が広がる経路が条文に描かれて います。

申し立てられる者の範囲も定義されています。船員、専門団体、協会、労働組合、そして一般に船舶の 安全に利害関係を有する者です。船内の船員に対する安全・健康上の危険への利害関係もここに含まれ ます。

不適合が出れば期限とともに船長へ行きます

不適合が確認されると、検査官は遅滞なく船長に知らせ、是正の期限を併せて指定します。その 不適合が重大と判断される場合や申立てに関係する場合は、通報先が増えます。検査が行われた国の 船員団体と船舶所有者団体に知らせ、旗国の代表に通知することができ、次の寄港地の主管当局に関連 情報を提供することができます。

最後の項目が実務では重い。この船の指摘が次の港に先回りしている場合があるという意味です。

出港を止める敷居は二筋で、計画書で開けられます

the authorized officer shall take steps to ensure that the ship shall not proceed to sea until any non-conformities that fall within the scope of subparagraph (a) or (b) of this paragraph have been rectified, or until the authorized officer has accepted a plan of action to rectify such non-conformities and is satisfied that the plan will be implemented in an expeditious manner.

二筋とは、船内の状態が船員の安全・健康・保安に明らかに危険な場合と、不適合が条約要件の重大な または反復した違反を構成する場合です。repeatedが入っているため、一件では重大でない指摘も 繰り返せばこの敷居に届きます。

扉を開ける道が二つあります。不適合を是正するか、是正の行動計画を検査官が受け入れ、その計画が 速やかに実施されると検査官が納得することです。出港が阻まれた場合、検査官は直ちに旗国に通知し、 可能であれば旗国代表の立会いを求め、定められた期限内の回答を要請します。

どのような状況が抑留を正当化するかについての指針はコードのPart Bにあります。指摘の根拠には 使われないPart Bが、抑留の判断の案内としては条文に明記されています。

確認しておくこと

上の引用はMLC, 2006統合版(2022年改正を含む)の印刷93ページから96ページで取りました。詳細検査の 開始と抑留は寄港国検査官の判断であり、その判断の基準は寄港国が加わる地域了解覚書の手続と併せて 適用されます。その船の証書と申告書が有効か、前回の指摘が次の港へ渡っているか、そして反復した 指摘と見られる項目が残っていないかが、実際の判断の出発点です。

Bellbookは詳細検査で求められる記録を船からすぐ出せるようにまとめます

詳細検査が開くと問われるのは休息時間と雇用契約と賃金と証書です。Bellbookはこれらの記録を船員ごとに船内に置き、陸上でも同じ画面で見られるので、求められたその場で出せます。

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