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船員・労務

船内安全委員会の設置人数の基準と安全代表・船長指定者の権限の境目(MLC基準A4.3)

2026-08-02

船員が六人乗る引き船と、二十人乗るばら積み船があるとします。どちらの船もリスク評価をし、安全 訓練をします。ところが一方にだけ必ず置かなければならないものがあります。船内の安全委員会です。

MLC, 2006の規則4.3と基準A4.3は、船舶の労働安全衛生と事故防止を扱います。条文は会社に直接命じ ません。旗国が自国の法令に入れるべき事項を並べる書き方をします。その一覧の中に人数で分かれる 敷居が一つあり、誰が何をするのかを分ける線がいくつかあります。

船員が五人以上なら安全委員会を置きます

(d) specify the authority of the ship’s seafarers appointed or elected as safety representatives to participate in meetings of the ship’s safety committee. Such a committee shall be established on board a ship on which there are five or more seafarers.

一つの号に二つ入っています。安全代表として任命または選出された船員が安全委員会の会議に参加 する権限と、委員会を置かなければならない船の条件です。

条件はfive or more seafarersです。総トン数でも航行区域でも船種でもありません。その船にいる 船員の数です。五人に満たない船に、条約は委員会を求めません。その代わり第1項の残りの事項は そのまま残ります。委員会がないからといって、労働安全衛生の方針及び計画、リスク評価、訓練が 免除されるわけではありません。

権限の中身も条文は自分では書きません。条文が旗国に求めるのは、その権限を法令で明示すること です。安全代表が会議で何ができるのかは、旗国の法令から読み取ります。

方針を実施する具体的な責任は船長または船長が指定する者に付きます

(c) specify the duties of the master or a person designated by the master, or both, to take specific responsibility for the implementation of and compliance with the ship’s occupational safety and health policy and programme; and

責任を負う立場を条文が名前で呼びます。船長、船長が指定する者、またはその両方です。船内の労働 安全衛生の方針及び計画を実施し遵守することについての具体的な責任がここに付きます。

その前の(b)は別の仕事をします。船舶所有者と船員、その他の関係者の全員に、適用される基準と船内 の方針及び計画を守る義務を負わせ、18歳未満の船員の安全と健康に特別の注意を払うように書きます。 義務は全員にあり、具体的な責任は(c)が指す立場にあります。

条文が名前で呼ぶ立場 条文がそこに置くもの
船長または船長が指定する者 方針及び計画の実施と遵守についての具体的な責任
安全代表に任命・選出された船員 安全委員会の会議に参加する権限
船舶所有者 自社船の統計と一般統計を参照すること
権限のある機関 船内の特定の危険を船員に知らせる措置(公式の掲示)

四つの立場はそれぞれ別の号から出てきます。

リスク評価は労働安全衛生の方針及び計画の中に入っています

(a) the adoption and effective implementation and promotion of occupational safety and health policies and programmes on ships that fly the Member’s flag, including risk evaluation as well as training and instruction of seafarers;

リスク評価は別立ての項目ではありません。労働安全衛生の方針及び計画を採択し実効的に実施せよと いう要求の中に(including)、訓練及び教育と並んで入っています。方針だけあってリスク評価が なければ、この号は満たせません。

誰が行い、何を根拠にするかは第8項が定めます。

  1. The competent authority shall require that shipowners conducting risk evaluation in relation to management of occupational safety and health refer to appropriate statistical information from their ships and from general statistics provided by the competent authority.

リスク評価を行う者として条文が呼ぶのは船舶所有者です。根拠として二つを挙げよといいます。自社 の船から出た統計情報と、権限のある機関が提供する一般統計です。自社船の統計は、船内で事故と 負傷を記録しておいて初めて生まれます。

点検・報告・是正と事故の調査は同じ号から出てきます

(d) requirements for inspecting, reporting and correcting unsafe conditions and for investigating and reporting on-board occupational accidents.

一つの号に二つの束があります。安全でない状態を点検し、報告し、是正すること。そして船内の労働 災害を調査し、報告することです。前者は事故が起きる前で、後者は事故が起きた後です。

船で誰が点検し、誰に報告するのか、調査の結果をどこに出すのかは、旗国の法令が埋めます。第6項が ここに条件を一つ掛けます。報告と調査は、船員の個人データの保護を確保するように設計しなければ なりません。

死亡は調査・記録に加えて毎年ILOに報告します

(a) all deaths of seafarers employed, engaged or working on board ships that fly its flag are adequately investigated and recorded, and reported on an annual basis to the Director-General of the International Labour Office to be published in a global register;

死亡には経路がもう一つ付きます。調査して記録するだけで終わらず、毎年、国際労働事務局の事務 局長に報告され、世界的な登録簿に載ります。対象は雇用された船員だけでなく、その船に乗り組んで 働く船員の全体です。

第5項の残りの三つの号は死亡以外の事故を受けます。労働災害・負傷・疾病を報告し、統計を維持し、 分析し、公表し、労働災害を調査します。報告義務は加盟国にありますが、その材料は船で書いた記録 から上がってきます。

確認しておくこと

上の引用はMLC, 2006統合版(2022年改正を含む)の印刷66ページと67ページから取りました。基準A4.3 は強制規定で、指針B4.3は勧告です。騒音、振動、閉鎖区域での作業、疲労、いやがらせといった事項 は指針の側にあります。

条文が旗国に渡した部分は大きいです。安全代表の権限の範囲、委員会の構成と開催の頻度、事故報告 の様式と提出先は、すべて旗国の法令が埋めます。規則4.3第2項は、旗国が船舶所有者団体および船員 団体と協議して国内の指針を作成し公表することを求めます。その船の判断はその国内の指針から 始まります。

Bellbookはリスク評価と事故報告を船上で作成し、船長が確認して署名する形にします

条文が割り当てるのは書類ではなく、誰が何をしたのかです。Bellbookはリスク評価と安全活動の記録に日付と参加者を残し、事故報告は船上で作成したうえで船長が確認して署名する経路に置きます。

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