船内焼却が禁止される物質の一覧と焼却炉に掛かる承認・運転要件(MARPOL附属書VI規則16)
2026-08-26

機関室から出たスラッジ油と甲板で集めた廃棄物を、焼却炉にまとめて入れようとしているとします。 何を抜かなければならないのか、今いる場所で焼いてよいのか、その焼却炉をそのまま回してよいのか が一度に掛かります。MARPOL附属書VI規則16は、この三つをそれぞれ別の文で定めます。
条文の構造は単純です。まず焼却できないものを列挙し、焼却できるものには設備と運転の条件を 付けます。そして一つの経路にだけ場所の制限を掛けます。
焼却は船内焼却炉の中でのみ許され、例外は一か所でしか開きません
1 Except as provided in paragraph 4 of this regulation, shipboard incineration shall be allowed only in a shipboard incinerator.
許される場所を設備で固定します。廃棄物を焼く行為はshipboard incineratorの中でしかできません。
ボイラや主機関に廃棄物を入れて焼くことは、この一文に阻まれます。
例外は第4項の一つだけです。条文がその例外をどこに開いたかは後で見ます。ここで確かめることは、 例外が一つだという事実です。他の項が焼却の場所を広げてはくれません。
焼却できないものの一覧は成分と出所の二つの軸で分かれます
2 Shipboard incineration of the following substances shall be prohibited: .1 residues of cargoes subject to Annex I, II or III or related contaminated packing materials; .2 polychlorinated biphenyls (PCBs); .3 garbage, as defined by Annex V, containing more than traces of heavy metals; .4 refined petroleum products containing halogen compounds; .5 sewage sludge and sludge oil neither of which is generated on board the ship; and .6 exhaust gas cleaning system residues.
六つの項目が並んでいますが、判断の基準は同じではありません。
一つ目の項目は貨物の残渣です。附属書IとIIとIIIがそれぞれ処理の経路を別に定めている物質です。 焼却を開けておくとその経路を迂回できるので塞ぎます。汚染された包装材まで一緒に入ります。
三つ目の項目の基準は物質ではなく含有量です。附属書Vの廃棄物であっても、重金属が痕跡を超えて 含まれていれば焼却から外れます。同じ廃棄物の袋が中身によって分かれます。
四つ目の項目も同じやり方です。精製された石油製品はそれ自体は焼ける物ですが、ハロゲン化合物が 混じると禁止の一覧に移ります。判断が焼けるかどうかから、何が混じっているかへ移ります。
五つ目の項目は軸が違います。物質は汚水スラッジとスラッジ油ですが、条件が
neither of which is generated on board the shipです。陸上や他の船から受け取ったものだけを
禁じます。その船で生じた同じ物質は第4項が別に扱います。
六つ目の項目は排ガス洗浄装置の残渣です。排ガスから取り除いたものをもう一度焼けば、取り除いた 場所へ戻ることになります。
そして一覧の外に、条件付きの項目がもう一つあります。
3 Shipboard incineration of polyvinyl chlorides (PVCs) shall be prohibited, except in shipboard incinerators for which IMO Type Approval Certificates have been issued.
PVCは禁止を解く条件が設備の側にあります。IMO Type Approval Certificatesを受けた焼却炉なら
焼けますし、なければ前の六項目と同じく塞がれます。ですからこの判断は廃棄物を仕分ける場所では
なく、焼却炉の証書を確かめる場所で決まります。
船内で生じたスラッジは焼却炉の外でも焼けますが港内では止まります
4 Shipboard incineration of sewage sludge and sludge oil generated during normal operation of a ship may also take place in the main or auxiliary power plant or boilers, but in those cases, shall not take place inside ports, harbours or estuaries.
第1項が指した例外がここです。条件が三つ重なります。物質は汚水スラッジとスラッジ油でなければ ならず、出所はその船の通常の運航中の発生でなければならず、焼く場所は主機関か補助機関または ボイラです。
ここに場所の制限が付きます。inside ports, harbours or estuariesではできません。この制限は
焼却炉の中で焼くときではなく、この経路で焼くときに掛かります。条文がこの経路にだけ条件を
付けたのです。
第2項の五つ目の項目と重ねて読むと軸が現れます。同じ汚水スラッジとスラッジ油でも、船の外から 来たものは禁止で、船で生じたものは場所を守れば焼けます。物質の名前ではなく出所が分けます。
焼却炉に掛かる要件は2000年1月1日で分かれます
6.1 Except as provided in paragraph 6.2 of this regulation, each incinerator on a ship constructed on or after 1 January 2000 or incinerator that is installed on board a ship on or after 1 January 2000 shall meet the requirements contained in appendix IV to this Annex. Each incinerator subject to this paragraph shall be approved by the Administration taking into account the standard specification for shipboard incinerators developed by the Organization;
日付が二度使われます。一度は船の建造日で、一度は焼却炉の設置日です。どちらか一方がその日より 後にあるだけで要件が掛かります。古い船に焼却炉を新たに入れれば、その焼却炉が付録IVの対象に なります。承認も併せて付きます。主管庁が承認し、その際に国際海事機関が作成した船内焼却炉の 標準仕様を考慮します。
そして除外が一つあります。
6.2 The Administration may allow exclusion from the application of paragraph 6.1 of this regulation to any incinerator installed on board a ship before 19 May 2005, provided that the ship is solely engaged in voyages within waters subject to the sovereignty or jurisdiction of the State the flag of which the ship is entitled to fly.
| 焼却炉 | 付録IVと主管庁の承認 |
|---|---|
| 2000年1月1日以後に建造された船の焼却炉 | 掛かります |
| 2000年1月1日以後に船に設置された焼却炉 | 船の建造日にかかわらず掛かります |
| 2005年5月19日より前に船に設置された焼却炉 | 主管庁が除外を認めることができます |
除外は自動ではありません。主管庁が認めることができるとあるだけで、条件として航行区域が付き ます。その船が自国の旗国の主権又は管轄の及ぶ水域の中だけを航行しなければなりません。国際航海 に出た瞬間、この除外は根拠を失います。
承認された焼却炉は温度が下がると廃棄物を入れられません
7 Incinerators installed in accordance with the requirements of paragraph 6.1 of this regulation shall be provided with a manufacturer’s operating manual, which is to be retained with the unit and which shall specify how to operate the incinerator within the limits described in paragraph 2 of appendix IV of this Annex. 8 Personnel responsible for the operation of an incinerator installed in accordance with the requirements of paragraph 6.1 of this regulation shall be trained to implement the guidance provided in the manufacturer’s operating manual as required by paragraph 7 of this regulation. 9 For incinerators installed in accordance with the requirements of paragraph 6.1 of this regulation the combustion chamber gas outlet temperature shall be monitored at all times the unit is in operation. Where that incinerator is of the continuous-feed type, waste shall not be fed into the unit when the combustion chamber gas outlet temperature is below 850°C. Where that incinerator is of the batch-loaded type, the unit shall be designed so that the combustion chamber gas outlet temperature shall reach 600°C within five minutes after start-up and will thereafter stabilize at a temperature not less than 850°C.
三つの項が同じ対象を指します。第6.1項に従って設置された焼却炉です。その焼却炉には製造者の 取扱説明書が付き、説明書は焼却炉とともに船に残っていなければなりません。担当者はその説明書の 指針どおりに訓練を受けなければなりません。そして運転中は燃焼室ガス出口温度を継続して監視し なければなりません。
温度の条件は装入の方式によって分かれます。
- 連続供給式:燃焼室ガス出口温度が850°Cを下回るときは廃棄物を入れません。投入という行為を止めます。
- バッチ装入式:始動後5分以内に600°Cに達し、その後850°C以上で安定するように設計されていなければなりません。こちらは運転者の行為ではなく設備の設計に掛かる条件です。
同じ850°Cでも、二つの方式で果たす役割が違います。連続供給式では温度が投入の敷居です。バッチ 装入式では温度が設計の満たすべき値です。そして条文が求める監視は、運転している間ずっとです。 始動のときに一度見て済ませることでは第9項を満たしません。
確認しておくこと
上の引用は、決議MEPC.328(76)で採択された改正附属書VIの印刷29ページから31ページから取りました。
規則16.5が二つのことを別に定めています。一つは、1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染 の防止に関する条約とその1996年の議定書による海洋における焼却の禁止が、この規則によって影響を 受けないことです。もう一つは、この規則の要件を満たすか上回る代替設計の船内熱処理装置の開発と 設置と運用を妨げないことです。焼却炉以外の装置を使うときは、規則16だけを見て判断できません。
付録IVの内容はこの引用の外にあります。第6.1項が指す要件と、第7項がいう付録IV第2項の限度が何か は、付録IVを見る必要があります。焼却炉の承認と除外の許可は主管庁が行い、港で焼却をより狭く 制限するかどうかは、その寄港国の法令が定めます。
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