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船員・労務

社会保障の九部門のうち最低三つと、旗国・居住国の責任分担(MLC規則4.5)

2026-07-22

船員の社会保障をその船の旗国で判断できるのか。MLC, 2006の規則4.5と基準A4.5の答えは、いいえです。 条文が責任を二つの軸に分けており、旗国が負う側は思ったより狭い。この記事はその分担線を見ます。

九つの部門があり、批准時点の下限は三つです

The branches to be considered with a view to achieving progressively comprehensive social security protection under Regulation 4.5 are: medical care, sickness benefit, unemployment benefit, old-age benefit, employment injury benefit, family benefit, maternity benefit, invalidity benefit and survivors’ benefit, complementing the protection provided for under Regulations 4.1, on medical care, and 4.2, on shipowners’ liability, and under other titles of this Convention.

医療、疾病給付、失業給付、老齢給付、業務災害給付、家族給付、母性給付、障害給付、遺族給付です。 そしてこれが規則4.1の医療と規則4.2の船舶所有者の責任を補完するものだと同じ一文が書きます。 重なるのではなく、その上に乗る層です。

  1. At the time of ratification, the protection to be provided by each Member in accordance with Regulation 4.5, paragraph 1, shall include at least three of the nine branches listed in paragraph 1 of this Standard.

九つ全部ではなく最低三つです。そしてその時点が批准のときです。規則の第2項の目標は漸進的に包括的 な保障に至ることであり、三つは出発線です。

この構造が意味することは一つです。ある国が条約を批准したという事実だけで九部門が保障されている とは読めません。どの三つかは国ごとに違います。

旗国の責任は医療と船舶所有者の責任までです

  1. Each Member’s responsibilities with respect to seafarers on ships that fly its flag shall include those provided for by Regulations 4.1 and 4.2 and the related provisions of the Code, as well as those that are inherent in its general obligations under international law.

旗国が自国の旗を掲げる船の船員について負う責任として条文が名指ししたのは、規則4.1と4.2です。 船内外の医療と船舶所有者の責任です。九部門の残りがここに自動で付いてくるわけではありません。

残りは船員が常時居住する国の責任です

  1. Each Member shall take steps according to its national circumstances to provide the complementary social security protection referred to in paragraph 1 of this Standard to all seafarers ordinarily resident in its territory. This responsibility could be satisfied, for example, through appropriate bilateral or multilateral agreements or contribution-based systems. The resulting protection shall be no less favourable than that enjoyed by shoreworkers resident in their territory.

基準がordinarily resident in its territoryです。国籍でも、乗り組んでいる船の旗国でもなく、 常居所です。

そして水準の下限が付きます。その結果として提供される保障は、その国に居住する陸上労働者が享受する ものより不利であってはなりません。規則4.5の第3項が、同じ基準をその国の社会保障法令の適用を受ける 船員についてもう一度書きます。

誰が負うか 何を
旗国 その旗を掲げる船の船員 規則4.1の医療と規則4.2の船舶所有者の責任
居住国 その領域に常時居住する船員 九部門の補完的な保障

外国人船員を乗せる船では、この二つの軸が別々の国を指します。一隻の中でも船員の居住国が分かれれば、 適用される制度が分かれます。

協定がこの配分を変えられます

第4項がその道を開いています。加盟国は二国間・多国間の協定により、また地域経済統合機関の枠組みで 採択された規定により、船員に適用される社会保障法令に関する別の規則を定めることができます。

ですから実際の適用を判断するとき、条約の条文だけでは終わりません。その二国の間に社会保障協定が あるかどうかが判断を変えます。

どの部門を保障するかは登録され公開されます

第10項が加盟国に、批准の時点で保障する部門を特定するよう求め、その後ほかの部門へ保障を広げたら 国際労働事務局長に通知するよう求めます。事務局長はこの情報の登録簿を維持し、利害関係者すべてが 見られるようにします。

確かめられる情報である点が実務では意味を持ちます。どの国がどの三部門を届け出たかが公開の登録簿に 残ります。

すでに得た権利は居住地と無関係に維持されるよう協力します

  1. To the extent consistent with their national law and practice, Members shall cooperate, through bilateral or multilateral agreements or other arrangements, to ensure the maintenance of social security rights, provided through contributory or non-contributory schemes, which have been acquired, or are in the course of acquisition, by all seafarers regardless of residence.

対象はすでに得た権利と取得の過程にある権利の両方です。拠出制の制度でも非拠出制の制度でも 区別しません。そしてregardless of residenceが付いているので、前の第3項が居住地で責任を分けたの とは向きが違います。配分は居住地で行いつつ、すでに積み上がった権利は居住地が変わっても守ろうと いうことです。

第9項は紛争を扱う場を求めます。加盟国は公正かつ実効的な紛争解決の手続を設けなければなりません。

確認しておくこと

上の引用はMLC, 2006統合版(2022年改正を含む)の印刷77ページから79ページで取りました。保障の形は 法令であっても、民間の制度であっても、団体交渉の合意であっても、その組合せであってもよいと第7項が 書きます。その船に乗る船員それぞれの常居所がどこか、その国が届け出た部門が何か、そして関係する 社会保障協定があるかが、実際の判断の出発点です。

Bellbookは船員ごとにどの社会保険が適用されるかを給与設定に置き、控除に反映します

適用の有無は国籍と居住地と協定によって船員ごとに分かれます。Bellbookは船員別に適用の有無を設定し、給与計算でそのまま反映するので、人ごとに違う控除を毎月手で判断し直すことになりません。

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