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環境・規制

EU MRVの排出報告期限と、適合書類の18か月有効期間のかみ合い(EU規則2015/757)

2026-07-28

EU MRVは一年の排出を書類一枚で閉じます。その書類が適合書類で、有効期間が18か月です。なぜ12か月 でも24か月でもなく18か月なのかは、報告の期限と船内備置の期限を並べて置くと出てきます。規則 2015/757が三つの日付をかみ合わせているからです。

出発点は監視計画です

会社は各船舶について、温室効果ガスの排出を監視し報告する方法を定めた監視計画を検証者に提出します。 この規則の適用範囲に初めて入る船は提出の時点が別に定められています。加盟国の管轄下の港に初めて 寄港した後、遅滞なく、遅くとも二か月以内です。

計画に入れるべき項目が条文に列挙されています。

  • 船舶と会社の識別情報
  • 主機・補機・ガスタービン・ボイラー・不活性ガス発生装置といった排出源と使用燃料の記述
  • 報告期間中に排出源の一覧を更新する手順とシステムと責任
  • 航海一覧の完全性を監視する手順
  • 燃料消費を監視する手順

報告の期限は3月31日で、前倒しにも底があります

From 2025, by 31 March of each year, companies shall, for each ship under their responsibility, submit to the administering authority responsible, to the authorities of the flag States concerned for ships flying the flag of a Member State and to the Commission an emissions report for the entire reporting period of the previous year, which has been verified as satisfactory by a verifier in accordance with Article 13. The administering authority responsible may require companies to submit their emissions reports by a date earlier than 31 March, but not earlier than by 28 February.

受け取る先は三つです。所管する管理当局、加盟国の旗を掲げる船については当該旗国の当局、そして 欧州委員会です。そして管理当局は期限を前倒しできますが、2月28日より早くは求められません。前倒し に底があります。

報告書は提出の前に検証者の検証を満足に通らなければなりません。会社が作った値をそのまま出す構造で はありません。

会社が変わると期間を割って報告します

  1. Where there is a change of company, the previous company shall submit to the administering authority responsible, to the authorities of the flag States concerned for ships flying the flag of a Member State, to the new company and to the Commission, as close as practicable to the day of the completion of the change and no later than three months thereafter, a verified report covering the same elements as the emissions report referred to in paragraph 1, but limited to the period corresponding to the activities carried out under its responsibility.

提出の主体は前の会社であり、範囲は自らの責任の下で行われた活動に対応する期間に限られます。そして 受け取る先に新しい会社が入ります。期限は変更の完了日にできるだけ近く、遅くとも三か月以内です。

この構造はMARPOL附属書VIのCIIと向きが逆です。CIIは移転があってもその年をまるごと算定させますが、 MRVは責任の期間で割ってそれぞれ報告させます。

適合書類の有効期間は報告期間終了後18か月です

  1. Documents of compliance shall be valid for the period of 18 months after the end of the reporting period.

発給の主体は検証者であり、排出報告書が要件を満たせば検証報告書に基づいて発給します。書類には船舶 の識別情報、船舶所有者の名称と住所と主たる営業所、検証者の身元、そして発給日と有効期間とその書類 が指す報告期間が入ります。

船内備置の期限がその有効期間の終わりと同じ日です

By 30 June of the year following the end of a reporting period, ships arriving at, within or departing from a port under the jurisdiction of a Member State, and which have carried out voyages during that reporting period, shall carry on board a valid document of compliance.

三つの日付を一列に置くとこうなります。

時点 起きること
報告期間の終了 12月31日
報告の期限 翌年3月31日
船内備置の期限 翌年6月30日
直前の適合書類の満了 翌年6月30日

直前の報告期間の適合書類は、その報告期間の終了後18か月、すなわち翌年の6月30日に満了します。そして 新しい報告期間の適合書類を船内に置くべき期限も同じ6月30日です。二つの日付が同じ日でかみ合うように 設計されています。

ですから3月31日の報告が遅れると余裕が消えます。発給までに残る時間が三か月であり、その三か月が過ぎ れば船内に有効な書類がない状態になります。

二つの期間を連続で欠くと退去命令まで行きます

加盟国は監視・報告の義務違反に対する制裁の体系を設け、実際に科されるようにしなければなりません。 その上にもう一段あります。

条件は二つです。二つ以上連続する報告期間について監視・報告の義務を履行しなかったこと、そして ほかの執行手段でも履行を確保できなかったことです。このとき入港した加盟国の主管当局は、当該会社に 意見を提出する機会を与えたうえで退去命令を発することができます。この命令は欧州委員会と欧州海事 安全機関と他の加盟国と当該旗国に通報されます。

確認しておくこと

上の引用は規則2015/757から取りました。管理当局が期限を前倒ししたか、検証者が誰か、データ交換様式 の技術規則がどう定められたかは、その船に実際に適用される事項として別に確かめる必要があります。 その船の適合書類の満了日がいつか、今年に会社の変更があったか、そして航海一覧に抜けた区間がないかが、 実際の判断の出発点です。

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