IAPP証書の検査の種類ごとの承認と更新時期別の有効期間の算定
2026-08-27

更新検査を旧証書の満了日の2か月前に終えた船と、満了日の4か月前に終えた船があるとします。 どちらも検査に合格し、指摘もありません。ところが新しいIAPP証書の満了日は別々に出ます。 一隻は旧証書の満了日から5年を受け、もう一隻は検査を終えた日から5年を受けます。
MARPOL附属書VIは、検査を規則5に、証書の発給と承認を規則6に、有効期間を規則9に分けて 置いています。三つを別々に読んでも日付は出ません。どの検査が証書のどの日付に付くのかを先に 立てて初めて満了日が決まります。
証書を新しく作る検査は初回検査と更新検査の二つだけです
1 An International Air Pollution Prevention (IAPP) Certificate shall be issued, after an initial or renewal survey in accordance with the provisions of regulation 5 of this Annex, to: .1 any ship of 400 gross tonnage and above engaged in voyages to ports or offshore terminals under the jurisdiction of other Parties;
規則5.1は、400総トン以上の船と固定式・浮遊式の掘削装置に五つの検査を掛けています。初回検査、 更新検査、中間検査、年次検査、追加検査です。このうち証書を発給するのは前の二つです。
.1 An initial survey before the ship is put into service or before the certificate required under regulation 6 of this Annex is issued for the first time.
初回検査は船を就航させる前、または証書を初めて発給する前に行います。更新検査は主管庁が定める 間隔で行いますが、5年を超えることはできません。残りの三つは証書を作りません。中間検査と 年次検査は既にある証書に承認の記載として付き、追加検査は重要な修理や取替えの後に周期とは 無関係に開きます。
証書に名前を載せる主体も決まっています。主管庁が発給し承認の記載をするか、主管庁が正当に権限を 与えた者または団体が行います。どちらであっても証書に対する責任は主管庁が全て負います。
年次検査と中間検査は検査基準日の前後に開いた窓の中で終えなければなりません
.3 An intermediate survey within three months before or after the second anniversary date or within three months before or after the third anniversary date of the certificate which shall take the place of one of the annual surveys specified in paragraph 1.4 of this regulation. .4 An annual survey within three months before or after each anniversary date of the certificate, including a general inspection of the equipment, systems, fittings, arrangements and material referred to in paragraph 1.1 of this regulation
二つの検査の窓はどちらも証書のanniversary dateから出ます。検査基準日は証書の満了日に当たる
毎年の月日です。年次検査は各検査基準日の前後3か月以内に終えます。中間検査は二回目または
三回目の検査基準日の前後3か月以内に終え、その年の年次検査一つに代わります。
条文は二つの検査をIAPP証書に記載するよう定めています。検査をしたという事実が証書の上に残ら なければ、後で見る規則9.9が掛かります。
窓より先に検査を終えると、検査基準日そのものが動きます。
8 If an annual or intermediate survey is completed before the period specified in regulation 5 of this Annex, then: .1 the anniversary date shown on the certificate shall be amended by endorsement to a date that shall not be more than three months later than the date on which the survey was completed;
証書に記された検査基準日を承認の記載で改めますが、検査を終えた日から3か月を超えない日に移し ます。その後の年次検査と中間検査は新しい検査基準日で数えます。満了日はそのままでも構いません。 その代わり、規則5が定めた検査の間の最大間隔を超えないように検査を入れる必要があります。
更新検査を終えた日が満了日の前3か月の内か外かで新しい5年の起算点が分かれます
1 An IAPP Certificate shall be issued for a period specified by the Administration, which shall not exceed five years.
発給期間の上限は5年です。規則9.2が、この5年の起算点を更新検査の時期によって三つに分けます。
| 更新検査を終えた時期 | 新証書が有効になる日 | 新証書の満了日の上限 |
|---|---|---|
| 旧証書の満了日の前3か月以内 | 更新検査の完了日 | 旧証書の満了日から5年 |
| 旧証書の満了日の後 | 更新検査の完了日 | 旧証書の満了日から5年 |
| 旧証書の満了日より3か月超も前 | 更新検査の完了日 | 更新検査の完了日から5年 |
.3 when the renewal survey is completed more than three months before the expiry date of the existing certificate, the new certificate shall be valid from the date of completion of the renewal survey to a date not exceeding five years from the date of completion of the renewal survey.
前の二行は旧証書の満了日をそのまま引き継ぎます。検査を満了日の後に終えても、次の周期は旧満了 日から数えます。三行目でだけ起算点が検査の完了日に移ります。冒頭の二隻が分かれる場所がここ です。満了日の4か月前に終えた船は、その分だけ次の周期を前倒しで使います。
一行目には例外が一つ付きます。主管庁が特別の事情と認めれば、新証書を旧満了日から数えなくても 構いません。その場合、新証書は更新検査の完了日から5年まで有効です(規則9.7)。
証書を5年より短く発給していた場合、主管庁は満了日の後へ有効期間を延ばすことができます。上限は 同じ5年です。ただし、5年で発給していれば受けたはずの規則5.1.3と規則5.1.4の検査を、それに 応じて受けなければなりません(規則9.3)。
満了日までに新証書を船に置けなかったときに開く延長は、事由ごとに長さが違います
4 If a renewal survey has been completed and a new certificate cannot be issued or placed on board the ship before the expiry date of the existing certificate, the person or organization authorized by the Administration may endorse the existing certificate and such a certificate shall be accepted as valid for a further period that shall not exceed five months from the expiry date.
- 更新検査は終えたが、新証書を発給できないか船に置けない場合。主管庁が権限を与えた者または団体が旧証書に承認の記載をし、その証書を満了日から5か月まで有効なものとして受けます(規則9.4)。
- 証書が満了する時に船が検査を受ける港にいない場合。主管庁は有効期間を延ばせますが、検査を受ける港まで航海を終えさせる目的でのみ開きます。3か月を超えることはできず、その港に着いた後は新証書なしに出港できません(規則9.5)。
- 短距離航海に従事する船が上の延長を受けていない場合。主管庁は証書に記された満了日から1か月までの猶予を与えることができます(規則9.6)。
後の二つの延長には同じ但し書きが付きます。更新検査を終えると、新証書は延長を受ける前の旧証書の 満了日から5年を超えることができません。延長で稼いだ期間が次の周期に上乗せされることはありません。
検査を窓の中で終えられないか承認の記載を受けられなければ、証書は満了日の前に失効します
9 A certificate issued under regulation 6 or 7 of this Annex shall cease to be valid in any of the following cases: .1 if the relevant surveys are not completed within the periods specified under regulation 5.1 of this Annex; .2 if the certificate is not endorsed in accordance with regulation 5.1.3 or 5.1.4 of this Annex; and .3 upon transfer of the ship to the flag of another State.
前の二つの事由が意味することは一つです。証書に記された満了日がまだ残っていても、その前に効力を 失います。年次検査を窓の外へ越えさせるか、検査をしても証書に承認の記載を受けられなければ、 その瞬間から有効な証書のない船になります。
検査の途中にも同じことが起こります。指名された検査員または承認された団体が、設備の状態と証書の 記載事項が実質的に合っていないと判断すれば、是正を確保し主管庁に通報します。是正しなければ 主管庁が証書を回収します。船が他の締約国の港にいれば、その寄港国の当局にも直ちに通報します。
旗国を移す場合、新しい証書はすぐには出ません。新証書を発給する政府が要件の充足を完全に認める 必要があります。移転が締約国の間で行われ、移転後3か月以内に要請が来れば、旧旗国の政府が移転前に 船が持っていた証書の写しと検査報告書の写しを新しい主管庁に送ります。
ポートステートコントロールは証書の日付だけでなく船上手順の習熟も見ます
1 A ship, when in a port or an offshore terminal under the jurisdiction of another Party, is subject to inspection by officers duly authorized by such Party concerning operational requirements under this Annex, where there are clear grounds for believing that the master or crew are not familiar with essential shipboard procedures relating to the prevention of air pollution from ships.
この検査が開く条件はclear groundsです。船長または乗組員が大気汚染の防止に関する不可欠な船上
手順を習熟していないと信ずるに足る明白な根拠があるときです。規則10.2は、状況が整うまでその船が
出港しないよう締約国が措置を取ると定めます。証書の日付が全て合っていても、この扉は別に開きます。
確認しておくこと
上の引用は、決議MEPC.328(76)で採択されたMARPOL附属書VI改正版の規則5・6・9・10から取りました。 印刷12ページから19ページまでです。
条文が定めるのは、検査の種類、窓の幅、更新時期ごとの起算点です。その中で旗国によって分かれる 場所は別にあります。
- 証書を何年で発給するかは、主管庁が5年の上限の中で定めます。
- 規則9.7の特別の事情を何と見るかも主管庁が判断します。
- 400総トン未満の船にどの措置を適用するかも主管庁が定めます。
- 検査を主管庁の職員が行うか、指名検査員や承認された団体に委ねるかも主管庁が定めます。
同じ規則9が国際エネルギー効率証書とStatement of Complianceには別の期間を定めている点も
併せて見る必要があります。国際エネルギー効率証書は船舶の生涯にわたって有効であり、適合表明書は
発給された年と翌年の一部までしか有効ではありません。IAPP証書の周期をそのまま移すと食い違います。
検査基準日は証書の満了日から出て、窓はその前後3か月です。Bellbookは船舶の証書ごとに管理番号と満了日、これまでの検査履歴を一緒に置き、船隊カレンダーで近づく検査と満了を日付順に見せます。
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