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IMO DCS 附属書 IX の改正項目と船上でのデータ収集方法

IMO 船舶燃料油使用量データ収集制度(DCS)の報告様式が変わりました。決議 MEPC.385(81) が MARPOL 附属書 VI の 附属書 IX を全面的に差し替えました。決議本文の表現どおり “12 Appendix IX is replaced by the following” です。

日程は決議の前文にあります。2024 年 3 月 22 日採択、MARPOL 第 16 条(2)(f)(iii) により 2025 年 2 月 1 日にみなし受諾、2025 年 8 月 1 日発効(決議 3 項)。決議 4 項はここに 1 行を加えています。

4 ALSO INVITES the Parties to consider the early application of the amendments to appendix IX with regard to information to be submitted to the IMO Ship Fuel Oil Consumption Database from 1 January 2025;

収集開始日は早期適用と引渡日で異なります

MEPC.1/Circ.913は次の経路を区別します。表は報告の提出年ではなく、データを収集する期間です。

適用経路 詳細データの収集開始
旗国が早期適用 2025-01-01から。それ以降の引渡船は引渡日から
発効日に適用する旗国の既存収集船 2025年は従来の粒度を維持し、2026-01-01から切替え
同じ旗国で2025-08-01以降に引き渡される船 引渡日から

収集前にSEEMPの方法を改訂し、主管庁又は認定機関が検証するという案内も確認します。引渡日と旗国の適用経路を見ずに、すべての船を2026年開始として扱うことはできません。

油種別の合計だけでは様式が埋まりません

差し替え後の附属書 IX における燃料消費の項目です。太字が今回入った欄です。

項目 内容
油種別の総消費量 既存
油種別・消費先別の総消費量 Main Engine(s) / Auxiliary Engine(s)·Generator(s) / Oil-fired Boiler(s) / Others (specify)
not under way 状態の油種別・消費先別消費量 上と同じ 4 つの消費先に再度区分
総航行距離(nm) 既存
Laden distance travelled (nm) 新規、任意提出
Hours under way 既存
陸上電力受電総量(kWh) 新規

要目の項目にも Net tonnage(NT)、Attained EEXI、Ice class が追加されました。

規則 28(CII)が適用される船舶は、これに加えて Total transport work、適用される CII の種類(AER または cgDIST)、要求年間運航 CII、補正前後の達成 CII、革新的技術の搭載有無、運航炭素強度の格付けを同じ様式の中で提出します。決議の表題がこの改正を “inclusion of data on transport work and enhanced granularity” と呼ぶのはそのためです。

消費先別の直接計測ができない場合は認められる代替方法を確認します

総量一つから複数の消費先の値を一意には求められません。ただし、直接計測だけが認められるわけではありません。MEPC.395(82)第7.3項・第7.4項は流量計、タンク監視、条件付きの差引き・推計を区別します。

一つの消費先の値だけが不明なら、測定された年間総量から他の消費先を差し引く方法を検討できます。先行する方法を使えず推計する場合、主管庁又は認定機関が満足する方法でなければなりません。消費先ごとの方法と根拠をSEEMP Part IIに記述し、任意の比率で空欄を埋めません。

規則27.3は暦年終了後3か月以内の集計値報告を求めます。一日の例で計算が合うことと、年間報告方法が認められることは別の確認です。

集計値の背後にある元データも 12 か月保管します

提出するのは集計値ですが、規則 27.8 はその下の元データを別に求めています。

8 … the disaggregated data that underlies the reported data noted in appendix IX to this Annex for the previous calendar year shall be readily accessible for a period of not less than 12 months from the end of that calendar year and be made available to the Administration upon request.

暦年終了後、少なくとも 12 か月のあいだ直ちに参照できる状態に置き、主管庁の要請があれば提出しなければなりません。附属書 IX が消費先別と not under way に細分化された以上、元データも同じ細かさを保った形で残っていなければこの要求を満たせません。集計を終えたからといって元の正午報告を整理してしまう運用は、この条項に合いません。

附属書 IX が変われば SEEMP Part II も変えます

規則 26.2 は、5,000 総トン以上の船舶の SEEMP に 規則 27.1 が求めるデータを収集する方法論と、主管庁へ報告する手順の記述を含めることを求めています。

収集の対象項目が変わったのですから、SEEMP に書かれた方法論も併せて変える必要があります。新しい欄を埋め始めていても、SEEMP の方法論の記述が旧項目のままであれば、文書と実際が食い違っている状態です。

CII が適用される船種には規則 26.3 が追加でかかります。この項の .3 は SEEMP を “subject to verification and company audits”、すなわち検証と会社監査の対象と位置づけます。ですから文書と実際が食い違っていれば、審査で指摘されます。

適用対象は 5,000 総トン以上です

規則 27.1 の文言です。

1 From calendar year 2019, each ship of 5,000 gross tonnage and above shall collect the data specified in appendix IX to this Annex, for that and each subsequent calendar year or portion thereof, as appropriate according to the methodology included in the SEEMP.

“or portion thereof” が付いているのは規則 27.4 と 27.5 のためです。主管庁が変わればその日付で前の主管庁分の期間を、会社が変わればその日付で当該会社分の期間を別に報告しなければなりません。両方が同時に起きた場合は規則 27.6 により主管庁変更の規定を適用します。管理の移管が予定されているなら、移管日で期間を切れるようにデータを整理しておきます。

報告のあとの流れも規定にあります。規則 27.9 は、主管庁が適合確認書(SoC)を発行してから 1 か月以内に報告データを IMO 船舶燃料油使用量データベースへ送ることを求めています。

データ公開の条項が新設されました

同じ決議が規則 27 に 14 項と 15 項を新設しました。

14 On an ad hoc basis, the Secretary-General of the Organization may share data with analytical consultancies and research entities, under strict confidentiality rules.

15 The Secretary-General of the Organization, on the request of a company, shall grant access to the fuel oil consumption reports of the company’s owned ship(s) in a non-anonymized form to the general public.

14 項は、事務局長が厳格な守秘条件のもとで分析機関・研究機関とデータを共有できるようにしたものです。15 項は、会社が要請すればその会社が所有する船舶の報告書を非匿名の形で一般に公開するというもので、会社の要請があって初めて動く条項です。

not under wayを停泊中だけに限定しません

MEPC.401(83)はunder wayをFAOPからEOSPまでと定義し、運河通航をnot under wayとして扱います。出入港時刻や速力だけで分類しません。

MEPC.413(84)は総航行距離に両状態の距離を含めるよう指針を修正しました。not under wayの距離をすべて0にすると、総距離が欠ける可能性があります。両改正を反映した統合指針はMEPC.1/Circ.925です。

架空の一日から燃料・時間・距離を別々に検算します

以下はBellbookが作成した計算例で、実船の実績や推奨運航ではありません。単一油種MGO、固定UTC時刻、FAOP 06:00、EOSP 22:00、運河通航なしと仮定します。燃料はt、距離はnmです。最初と最後の区間には操船中の移動を含みます。

UTC区間 状態 主機 t 発電機 t ボイラー t その他 t 距離 nm
00:00–06:00 not under way 2 3 1 0 10
06:00–22:00 under way 32 6 2 0 320
22:00–24:00 not under way 2 1 1 0 5

同じ燃料総量を消費先別と運航状態別に分類した比較

二つの棒は同じ一日の燃料を別の基準で分類しています。消費先別の合計に運航状態別の合計を足してはいけません。原資料との照合では、燃料の種類と報告期間をそろえてから各分類の合計を比較します。

  • 消費先合計:主機36 + 発電機10 + ボイラー4 + その他0 = 50 t。
  • 状態別合計:under way 40 + not under way 10 = 50 t。not under wayの10 tは総量に含まれるため、再度加算しません。
  • Hours under way:22:00 − 06:00 = 16時間。同じ経過時間を消費先の数だけ加算しません。
  • 総距離:10 + 320 + 5 = 335 nm。状態別ではunder way 320 nm、not under way 15 nmです。

別の総量記録が49.5 tなら、差は50 − 49.5 = 0.5 tです。差を消すためにボイラーの値を任意に減らしません。期間、油種、単位、計測補正、欠落・重複、原記録を先に照合します。この例では許容誤差を設定していません。

例題ファイルと確認表で同じ値を再現できます

DCS架空記録CSVには同じ三つの区間を収録しています。開始・終了はISO時刻で、終了は次の区間の開始と一致し、一日を連続して覆います。合計列はありません。各消費先の列を足して上記の結果を再現します。

DCS確認用CSVには報告期間、油種、総量の根拠、消費先合計、両状態の合計、距離・時間、差、根拠資料、確認者・対応を記入します。補助様式であり、公式提出様式や自動適合判定ではありません。陸上電力のkWhを燃料のtに足したり、燃料量だけでCIIを計算したりしません。

現行の指針と将来の条約改正を区別します

確認日は2026-09-28です。MEPC.407(84)の条約改正は、受諾を条件に2027-09-01発効予定です。報告期間の記載やデータアクセスの変更などを含むため、既に発効した規則として扱いません。MEPC.413(84)を反映した現行SEEMP指針と、将来の条約発効は別に管理します。

今すぐ確認すること

  1. 正午報告または日々の消費記録が、主機・発電機・ボイラー・その他に分かれているか
  2. FAOP・EOSP・運河通航記録でunder wayとnot under wayを区別し、両状態の距離を残しているか
  3. 陸上電力を受ける船なら、受電量(kWh)が記録されているか
  4. SEEMP Part II のデータ収集方法論の記述が、新しい附属書 IX の項目を反映しているか
  5. 旗国・認定機関が 2025 年分の早期適用を求めているか

出典

  • MEPC.385(81)(2024-03-22 採択、2025-08-01 発効)。附属書 IX の差し替え、規則 27 の 14・15 項新設。原文 MEPC.385(81).pdf の PDF 4-6 ページ(文書表示 3-5 ページ)で照合。
  • MEPC.328(76) 2021 年改正 MARPOL 附属書 VI。規則 26(SEEMP)、規則 27(収集・報告)。原文 MEPC.328(76).pdf pp.45-46 で照合。
  • 様式と適用時期は改訂版、および旗国が早期適用を採用しているかによって変わります。実際の提出は旗国と認定機関の最新の指針を基準としてください。

今回の補強では、引渡日による収集開始日、差引き・推計の条件、運航状態と総距離の区分を追加しました。架空例の合計は公開CSVと照合しました。個別の旗国承認や外部専門家の確認に代わるものではありません。

引用した原文を直接確認できます

以下は、この記事で扱う文書の公式発行元へのリンクです。本文に記載した版と条項を照合し、実際の適用前にその後の改正と旗国の実施要件を確認してください。

関連する業務の解説も確認できます

Bellbook は燃料消費を最初から消費先ごとに分けて受け取ります

正午報告と入出港報告に主機・発電機・ボイラー・その他の消費量を分けて残します。提出前に会社はSEEMP Part IIの方法と運航状態の区分に沿って原記録と集計値を照合する必要があります。

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