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船員の休息時間 24 時間・7 日の上限と違反の判定方法

最低休息時間は、任意の連続24時間に10時間、任意の連続7日間に77時間です。暦日ごとの合計だけでなく、どの時点から数えた期間でも基準を満たすか確認します。

この記事では MLC, 2006 の基準 A2.3 と STCW コード A-VIII/1 の文言をそのまま並べ、二つの規定が 実際に何を求めているのかを整理します。

休息時間チェックで記録を確認します

勤務・休息記録から連続24時間・7日間の不足区間と欠落を確認できます。

任意の連続24時間と7日間を基準にします

MLC 基準 A2.3 第 5 項の表現は in any 24-hour period と in any seven-day period です。

  1. The limits on hours of work or rest shall be as follows: (a) maximum hours of work shall not exceed: (i) 14 hours in any 24-hour period; and (ii) 72 hours in any seven-day period; or (b) minimum hours of rest shall not be less than: (i) ten hours in any 24-hour period; and (ii) 77 hours in any seven-day period.

any は「任意の」です。0 時から 24 時までの一日ではなく、起点をどこに置いても成り立たなければ なりません。ですから深夜 0 時で区切った合計が両日とも 10 時間を超えていても、二日にまたがる 24 時間の窓では 10 時間に届かないことがあります。

暦日ごとに10時間あっても連続24時間では4時間になる例です

以下は Bellbook が計算説明のために作成した架空の記録です。実船の事例や推奨当直表ではありません。船内時計の変更はなく、休息以外は勤務で、例外を適用しないものとします。

日付 休息 残りの勤務 暦日の休息
初日 00:00〜06:00、14:00〜18:00 06:00〜14:00、18:00〜24:00 6 + 4 = 10時間
翌日 06:00〜12:00、20:00〜24:00 00:00〜06:00、12:00〜20:00 6 + 4 = 10時間

暦日別の休息と日付をまたぐ確認区間の比較

濃い棒は休息、薄い棒は勤務です。枠で囲んだ部分が確認区間です。同じ記録でも、暦日ではなく枠内の休息だけを合計すると結果が変わります。

初日06:00から翌日06:00までを切り取ります。初日早朝の休息は窓の外で、翌日早朝の休息は窓の終了時に始まります。残るのは初日14:00〜18:00の4時間だけです。通常の最低基準に6時間不足します。

この計算で確認できるのは、この窓の休息合計だけです。他の窓や分割要件への適合は証明しません。翌日以降の記録がないため、その先に延びる窓も判定できません。

各休息区間と検査窓が重なる時間だけを足します。開始時点を含め、終了時点を含めず、境界を重複計算しません。

  • 重なりの開始は、休息開始と窓開始の遅い方です。
  • 重なりの終了は、休息終了と窓終了の早い方です。
  • 重なりの長さはその差です。終了が開始より前ならゼロです。

最小値を求めるには、窓の開始と終了のどちらが勤務・休息の切替点を通る場合も調べます。開始候補は切替時刻と、切替時刻から窓の長さを引いた時刻、および記録の境界です。窓全体が記録で覆われる場合だけ計算します。記録されていない呼出しは復元できません。

労働時間と休息時間の週基準には19時間の差があります

MLC第5項は(a)と(b)の間に or を置きます。旗国の実施法令と船舶のDMLC Part Iを確認します。MLCで労働時間方式を採用していても、対象船員のSTCW上の休息義務がなくなるわけではありません。

この二つは同じ規則を書き換えたものではありません。7日は168時間で、休息77時間を引くと91時間が残ります。この計算上の残りと労働上限72時間との差が19時間です。実際の勤務配置は、他の休息・分割要件も満たす必要があります。

A2.3第1項(b)の this term does not include short breaks は、短い休憩を休息時間に算入しないという意味です。それだけで労働時間からも除外できるとはいえません。168時間から77時間を引いた91時間は計算上の残りであり、すべてを勤務に充ててよいという許容量ではありません。

ですから記録を検査する前に、その船の旗国がどちらの方式を選んだのかを確認する必要があります。 船内に掲示する作業配置表にも、その値を記載することになっています(A2.3 第 10 項 (b))。

休息の合計・分割回数・間隔を確認します

24 時間に 10 時間を確保していても、その 10 時間をどう分けたかは別の要件です。

  1. Hours of rest may be divided into no more than two periods, one of which shall be at least six hours in length, and the interval between consecutive periods of rest shall not exceed 14 hours.

三つが同時に効きます。休息は二つの区間までしか分割できず、そのうち一つは 6 時間以上でなければ ならず、連続する二つの休息の間隔は 14 時間を超えられません。STCW コード A-VIII/1 第 3 項も同じ 文です。

間隔の境界は14時間を超える場合です。ちょうど14時間なら、この項目だけでは違反になりません。休息の合計と分割は別に確認します。

以下は通常基準の確認項目です。分割の判定は深夜に切られた欄の数だけでは決めません。実際に連続する休息区間と、連続する24時間・7日間の合計を別々に確認します。

違反 根拠 判定に使う値
10 時間不足 A2.3 第 5 項、A-VIII/1 第 2 項 任意の 24 時間の窓の最小休息
77 時間不足 A2.3 第 5 項、A-VIII/1 第 2 項 任意の 7 日の窓の最小休息
二区間超過 A2.3 第 6 項、A-VIII/1 第 3 項 検査対象の24時間における休息配置
6 時間の区間なし A2.3 第 6 項、A-VIII/1 第 3 項 最も長い休息区間
14 時間の間隔超過 A2.3 第 6 項、A-VIII/1 第 3 項 休息の間の最長勤務

どれに引っかかったかによって直し方が違うので、「その日は違反」と一行で書くと、次に何を 変えればよいのかがわかりません。

STCW と MLC は適用対象が違います

数字が同じなので一つの規定としてまとめて見たくなりますが、適用範囲が違います。

STCW コード A-VIII/1 第 2 項は対象をこう書いています。

2 All persons who are assigned duty as officer in charge of a watch or as a rating forming part of a watch and those whose duties involve designated safety, prevention of pollution and security duties shall be provided with a rest period of not less than:

STCWの当該規定は当直責任者、当直部員、指定された安全・汚染防止・保安業務の担当者が対象です。MLC適用船の船員は、当直の有無にかかわらず旗国の労働・休息基準を確認します。

ですから当直表だけで休息時間の遵守を説明することはできません。当直のない職務の記録も そろっている必要があります。

例外を開くとき、STCW は数字を示し MLC は手続を示します

どちらの規定も例外を認めますが、その方式が違います。

STCW コード A-VIII/1 第 9 項は、例外の限界を数字で固定します。

9 Parties may allow exceptions from the required hours of rest in paragraphs 2.2 and 3 above provided that the rest period is not less than 70 hours in any 7-day period.

同じ項は週の例外を連続2週間までとし、例外間にその期間の2倍以上の間隔を求めます。分割の例外でも一日最低10時間を維持し、最大三区間とします。一つは6時間以上、残りは各1時間以上で、間隔は14時間以内です。分割の例外は7日中二つの24時間期間までです。10時間の合計自体を減らす例外ではありません。

MLC 基準 A2.3 第 13 項は、数字ではなく手続を定めます。例外は国内法令、または権限のある機関が 認めもしくは登録した労働協約によってのみ開きます。会社と船員が個別に合意して開くものでは ありません。

つまり例外を適用した記録には、根拠が二つ必要です。どの例外規定なのか、そしてその例外を許した 旗国の根拠が何かです。

訓練の妨げを減らし、呼出し後の代償休息を確保します

招集・消火・救命艇訓練は休息の妨げを最小限とし、疲労を引き起こさないように実施します(A2.3第7項、A-VIII/1第4項)。実際の訓練と呼出しを記録し、その後の休息を確認します。

機関室無人化のように船員が呼出し待機の状態にあるときは、条件がもう一つ付きます。呼出しに よって通常の休息が妨げられた場合は、それに見合う代償休息を与えなければなりません(A2.3 第 8 項、A-VIII/1 第 6 項)。呼出しがあった事実だけを書いて代償休息を書かなければ、記録が 要件を証明しません。

船長の権限も同じ構造です。船舶と船内の人、貨物の即時の安全のためであれば、船長は休息の配置を停止し、 必要な時間だけ作業をさせることができます(A2.3 第 14 項、A-VIII/1 第 8 項)。ただし同じ規定は、 通常の状態に戻った後は実行可能な限り速やかに適切な休息を与えることを求めています。権限は記録を 免除するのではなく、後で行うことを一つ増やします。

記録には船長と船員、二人の署名が必要です

記録の要件は、様式と言語、写しの交付、署名まで定められています。

  1. Each Member shall require that records of seafarers’ daily hours of work or of their daily hours of rest be maintained to allow monitoring of compliance with paragraphs 5 to 11 inclusive of this Standard.

同じ項が続けて定めます。記録は権限のある機関が定めた標準様式で作成し、船内の使用言語と英語で 書きます。船員は自分に関する記録の写しを受け取り、その記録には船長(または船長が権限を与えた者) と船員の双方が署名します。STCW コード A-VIII/1 第 7 項も標準様式と写しの交付、双方の署名を 同じく求めています。ただし様式を定める主体は書いていません。

署名が二つであることが要点です。船員の署名がない記録は、様式が正しくても要件を満たしません。 そして写しを船員に渡したかどうかは記録そのものには残らないので、手続として管理する必要が あります。

掲示の義務も別にあります。船内の作業配置表を見やすい場所に掲示し、職務ごとに海上と停泊中の 勤務配置、および適用される労働時間の上限または休息時間の下限を記載します(A2.3 第 10 項)。この 表も標準様式で、船内の使用言語と英語で作成します(第 11 項)。

確認すべきこと

  • その船の旗国が労働時間の上限方式なのか、休息時間の下限方式なのか
  • 判定を暦日の合計で行っているのか、窓を動かして行っているのか
  • 違反を一種類で記録しているのか、五種類に分けて記録しているのか
  • 例外を適用した記録に旗国の根拠が付いているか
  • 記録に船員の署名が入っているか

MLC と STCW のこれらの規定は、版によって文言が異なることがあります。上の引用は MLC, 2006 (2022 年改正を含む統合版)と STCW コードマニラ改正(STCW/CONF.2/34)から取りました。旗国がより 厳しい基準を定めている場合は、その基準が優先します。

一日と一週間の合計を別々に検算します

毎日同じ時刻にちょうど10時間休むと、連続7日の合計は10 × 7 = 70時間です。通常基準の77時間に7時間不足します。一日の最低時間だけでは週の基準を満たしません。

逆に7日合計が77時間を超えても、上記の4時間の窓の不足は残ります。後から休息を与えても、過去の不足記録を適合として書き換えることはできません。

例題と検算用の記録用紙をダウンロードできます

  • 二日分の例題CSV:表の全勤務・休息区間です。架空の日付と固定UTCオフセットを使います。
  • 検算用記録CSV:空の入力用紙です。数式や自動適合判定はありません。

Excel等の表計算ソフトで開けます。開始時刻を含み終了時刻を含みません。例題の+09:00は特定の旗国を意味しません。実際の記録では実際のオフセットを入力し、船内時計変更の前後を区別します。

各行に船員識別子、開始・終了、状態(REST·WORK·UNKNOWN)、勤務・呼出し理由、後続休息、根拠記録、確認者を記入します。欠落時間を休息と扱わず、重複や逆転した時刻を先に修正します。

これは照合用の補助資料です。MLC A2.3第12項の標準化された記録、確認署名、船員への写し交付の代わりにはなりません。

不足した窓と後続措置を一緒に記録します

  1. 旗国基準、対象船員、承認された例外の有無を確認します。
  2. 計画表ではなく実際の記録を集めます。日付境界、呼出し、訓練、時計変更を含めます。
  3. 窓全体の記録を確認します。欠落があれば判定を保留し原記録を確認します。
  4. 窓の開始・終了、休息合計、適用基準を記入します。合計・分割・間隔を分けて検討します。
  5. 船長・担当者が勤務変更と後続休息を検討し実施を記録します。元の不足記録を消しません。

参照原文と訂正内容を公開します

資料確認日は2026-09-28です。以下の版の該当条項を照合しました。すべての旗国の最新実施法令を検証したものではありません。

不完全だった日付境界の例を全時間表に置き換えました。14時間の境界、短い休憩の分類、STCW分割例外も訂正しました。計算例は公開CSVと照合済みです。外部の有資格専門家による検証を意味するものではありません。

関連する業務の解説も確認できます

Bellbook は休息時間をローリング窓で検査し、違反の種類を分けて示します

船員が船上で 30 分刻みで入力すると、24 時間と 7 日のすべての窓を走査して最小休息を求めます。10 時間・77 時間・分割回数・6 時間の区間・14 時間の間隔をそれぞれ別に判定します。記録のない区間はゼロで埋めず、判定を保留します。

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