年次有給休暇の月2.5日の算定基準と放棄の合意の禁止(MLC基準A2.4)

MLC, 2006の規則2.4は旗国に二つを求めます。自国船の船員に年次有給休暇を与えさせること、そして上陸許可を与えさせることです。休暇日数を数える基準は基準A2.4にあり、どの日を休暇に数えないかは指針B2.4にあります。
この二つを混ぜて読むと計算が狂います。基準A2.4は強制規定で、指針B2.4は勧告です。どの文がどちら側にあるかによって、その値が旗国の法令から必ず出てこなければならないかが分かれます。
この記事は基準A2.4の三つの項と指針B2.4の算定規定を並べ、雇用月数から休暇日数が出てくる過程を仮の例でたどります。
規則2.4は年次有給休暇と上陸許可を別に置きます
- Each Member shall require that seafarers employed on ships that fly its flag are given paid annual leave under appropriate conditions, in accordance with the provisions in the Code.
- Seafarers shall be granted shore leave to benefit their health and well-being and consistent with the operational requirements of their positions.
第1項は年次有給休暇です。条件はコード、つまり基準A2.4が埋めます。第2項は上陸許可です。健康と福祉のために与えますが、その職位の運航上の要求と両立する範囲で与えます。
二つの項は別のことを言っています。上陸許可は寄港中に数時間船を離れることで、年次有給休暇は雇用期間に比例して積み上がる日数です。後で見るように、指針は上陸許可を年次有給休暇から外すよう勧告します。二つを一つの休暇としてまとめて記録すると、年次有給休暇が減ります。
算定基準は雇用1か月につき最低2.5暦日です
- Subject to any collective agreement or laws or regulations providing for an appropriate method of calculation that takes account of the special needs of seafarers in this respect, the annual leave with pay entitlement shall be calculated on the basis of a minimum of 2.5 calendar days per month of employment. The manner in which the length of service is calculated shall be determined by the competent authority or through the appropriate machinery in each country. Justified absences from work shall not be considered as annual leave.
一つの項に三つの文があり、それぞれ別の仕事をします。
第一の文が算定基準です。a minimum of 2.5 calendar days per month of employment、雇用1か月につき最低2.5暦日です。団体交渉の合意や法令が船員の特別な事情を考慮した別の算定方法を置くことはできますが、条文が言う最低はこの値です。暦日なので、週末が入っていても差し引きません。
第二の文は、雇用1か月をどう数えるかを権限のある機関に委ねます。乗船日から数えるのか、契約の署名日から数えるのか、満たない端数の月をどう扱うのかは旗国が定めます。
第三の文は、正当な欠勤を年次有給休暇に数えてはならないと言います。疾病や負傷で休んだ日を休暇から差し引くと、この文に引っかかります。
仮の例で数えると入力値は雇用月数の一つだけです
旗国が暦月単位で数えるよう定めたと仮定します。条文の最低値をそのまま掛けると次のようになります。
| 雇用期間(か月) | 最低年次有給休暇(暦日) |
|---|---|
| 1 | 2.5 |
| 4 | 10 |
| 7 | 17.5 |
| 10 | 25 |
この表は条文の最低値を掛けた結果にすぎません。団体交渉の合意がより多い日数を定めればその値が適用されます。旗国が別の算定方法を置けば、その方法が優先します。
表から分かるのは入力値が一つだということです。雇用月数です。その数が乗下船記録から出てこなければ、休暇日数も出てきません。逆に乗船期間を長く取ると、発生した休暇を使う場所がなくなります。その相互作用は最長乗船期間の記事で扱います。
放棄の合意は権限のある機関が定める場合の外では禁止されます
- Any agreement to forgo the minimum annual leave with pay prescribed in this Standard, except in cases provided for by the competent authority, shall be prohibited.
最低年次有給休暇を放棄する合意は禁止されます。例外は権限のある機関が定める場合だけです。会社と船員が合意書を書いても例外は開きません。
この項が狙うのは、休暇を金銭に換えたり次の契約に繰り延べたりする合意です。禁止の対象は最低日数です。最低を超える部分をどうするかは条文が言いません。
指針B2.4.1は休暇から外すべき日を四つ挙げます
ここからは指針です。旗国が従うよう勧告しますが、強制規定ではありません。
- The following should not be counted as part of annual leave with pay: (a) public and customary holidays recognized as such in the flag State, whether or not they fall during the annual leave with pay; (b) periods of incapacity for work resulting from illness or injury or from maternity, under conditions as determined by the competent authority or through the appropriate machinery in each country; (c) temporary shore leave granted to a seafarer while under an employment agreement; and (d) compensatory leave of any kind, under conditions as determined by the competent authority or through the appropriate machinery in each country.
四つとも、休暇のように見えて年次有給休暇ではない日です。旗国の公休日、疾病・負傷・出産で働けなかった期間、雇用契約中の一時的な上陸許可、そして代替休暇です。
(c)が先に見た規則2.4第2項につながります。寄港地で数時間下りたことを年次有給休暇の消化として記録すると、この勧告と食い違います。(b)は基準A2.4第2項の正当な欠勤の文と同じ方向です。
同じ指針の第1項と第2項は反対方向も勧告します。乗船契約外の勤務(service off-articles)、承認された海事職業訓練課程への出席、疾病・負傷・出産による欠勤は勤続期間に入れるよう言います。休暇からは外し、勤続には入れるということです。
休暇中の賃金は通常の水準で、1年未満は按分算定です
- The level of pay during annual leave should be at the seafarer’s normal level of remuneration provided for by national laws or regulations or in the applicable seafarers’ employment agreement. For seafarers employed for periods shorter than one year or in the event of termination of the employment relationship, entitlement to leave should be calculated on a pro-rata basis.
休暇中の賃金は、法令や雇用契約が定める通常の報酬水準でなければなりません。基本給だけを支払う方式はこの勧告と異なります。
1年未満で雇用されるか、雇用関係が終われば按分算定です。上の表の7か月の行がこの場合です。1年を満たして初めて休暇が生じる構造ではありません。
指針B2.4.2第4項は、休暇中の呼び戻しを極度の緊急時に、しかも船員の同意があるときに限ります。指針B2.4.3は分割と累積を権限のある機関の許可事項とし、原則は連続した期間として取ることだと言います。
確認しておくこと
上の引用はMLC, 2006統合版(2022年改正を含む)の規則2.4の部分から取りました。基準A2.4が強制規定で、指針B2.4.1からB2.4.4までは勧告です。
条文が旗国に委ねた値が二つあります。勤続期間の数え方、そして放棄の合意の例外です。どちらも会社が決める値ではありません。適用される団体交渉の合意があれば、その日数が条文の最低値に優先します。
この記事は条約本文までしか扱いません。18歳未満の船員の特別措置を扱う指針B2.4.4、そして最長乗船期間との相互作用は別の記事で見ます。
引用した原文を直接確認できます
以下は、この記事で扱う文書の公式発行元へのリンクです。本文に記載した版と条項を照合し、実際の適用前にその後の改正と旗国の実施要件を確認してください。
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休暇日数の入力値は雇用月数の一つだけです。Bellbookは乗船日と下船日を船員ごとに記録し、今日までの経過月数を同じ画面に表示するので、休暇を算定するときに乗船期間を数え直しません。
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