北極水域での重油の使用・運送禁止の二つの日付と二つの例外(MARPOL附属書I規則43A)

決議MEPC.329(76)はMARPOL附属書Iに規則43Aを新しく入れました。北極水域で重油を燃料として使用し、または燃料として積むことを禁止する条文です。日付が二つ、例外が二つあります。日付を一つで覚えたり、例外を一つで覚えたりすると間違えます。
この規則は地域制度です。適用地域は規則46.2が定める北極水域で、適用対象はその水域で規則43.1.2の油を燃料として使用し、または積む船です。世界共通の義務ではありません。同じ燃料を他の海域で積んで航行することは、この規則が止めるものではありません。北極水域に入った瞬間から掛かります。
この記事は禁止の本文から始めて二つの日付と二つの例外を分け、洗浄の免除と南極の規則43との違いで終わります。
禁止は使用と運送の両方で、日付は2024-07-01です
1 With the exception of ships engaged in securing the safety of ships or in search and rescue operations, and ships dedicated to oil spill preparedness and response, the use and carriage of oils listed in regulation 43.1.2 of this Annex as fuel by ships shall be prohibited in Arctic waters, as defined in regulation 46.2 of this Annex, on or after 1 July 2024.
禁止されるのはuse and carriageです。燃やすことと燃料として積むことが一緒に掛かります。タンクに入っている燃料が判断の対象です。対象の油は、規則43.1.2が密度と動粘度で定義した原油以外の油です。この定義は南極の規則43が先に作り、北極の規則43Aがそれを借りています。
条文の冒頭に除外が三つあります。船舶の安全確保に従事する船、捜索救助作業中の船、油流出の準備・対応専用船です。この三つは日付に関係なく規則の外にあります。
保護された燃料タンクを持つ船は2029-07-01まで猶予されます
2 Notwithstanding the provisions of paragraph 1 of this regulation, for ships to which regulation 12A of this Annex or regulation 1.2.1 of chapter 1 of part II-A of the Polar Code applies, the use and carriage of oils listed in regulation 43.1.2 of this Annex as fuel by those ships shall be prohibited in Arctic waters, as defined in regulation 46.2 of this Annex, on or after 1 July 2029.
一つ目の例外は船の構造から出ます。規則12Aまたは極海コード第II-A部第1章規則1.2.1が適用される船です。どちらも燃料タンクを外板から離して保護する要件です。その船には禁止の日付が2024-07-01ではなく2029-07-01です。
規則12Aがどの船に掛かるかは、決議MEPC.141(54)が定めました。
1 This regulation shall apply to all ships with an aggregate oil fuel capacity of 600 m3 and above which are delivered on or after 1 August 2010, as defined in regulation 1.28.9 of this Annex.
燃料タンクの合計容量と引渡日の二つの条件が一緒に掛かります。この条件に合って規則12Aの適用を受ける船は、2029-07-01まで重油を使えます。条件に合わない船は2024-07-01から掛かります。
| 区分 | 禁止開始日 |
|---|---|
| 一般の船 | 2024-07-01 |
| 規則12Aまたは極海コード第II-A部第1章規則1.2.1の適用船 | 2029-07-01 |
以前に重油を使っていてもタンクの洗浄は求めません
3 When prior operations have included the use and carriage of oils listed in regulation 43.1.2 of this Annex as fuel, the cleaning or flushing of tanks or pipelines is not required.
禁止の前に重油を使っていた船が燃料を替えて北極水域に入るとき、タンクと配管を洗浄またはフラッシングせよとは求めません。南極の規則43にも同じ文があります。タンクの底に残った残量が違反にならないように、条文が先に開けておいた場所です。
この項が免除するのは洗浄であって使用ではありません。残量が残っていてもかまいませんが、その燃料を燃やしたり新たに積んだりすることは、第1項の禁止にそのまま掛かります。
沿岸国は自国船に限って免除でき、それも2029-07-01に終わります
4 Notwithstanding the provisions of paragraphs 1 and 2 of this regulation, the Administration of a Party to the present Convention the coastline of which borders on Arctic waters may temporarily waive the requirements of paragraph 1 of this regulation for ships flying the flag of that Party while operating in waters subject to the sovereignty or jurisdiction of that Party, taking into account the guidelines to be developed by the Organization. No waivers issued under this paragraph shall apply on or after 1 July 2029.
二つ目の例外は船の構造ではなく、旗国と水域から出ます。条件が三重です。免除を与える主管庁は、海岸が北極水域に接する締約国でなければなりません。免除を受ける船は、その締約国の旗国船でなければなりません。免除が通じる場所は、その締約国の主権または管轄権が及ぶ水域でなければなりません。
三つの条件のどれか一つでも欠ければ免除は届きません。他の旗国の船がその水域に入っても免除はありません。自国船であってもその水域を出れば免除は終わります。そして、どの免除も2029-07-01以後は適用されません。一つ目の例外と同じ日付です。
5 The Administration of a Party to the present Convention which allows application of paragraph 4 of this regulation shall communicate to the Organization for circulation to the Parties particulars of the waiver thereof, for their information and appropriate action, if any.
免除を与えた主管庁はその内容を機関に通報し、機関は締約国に回章します。免除はその国の中だけで知っていればよい事柄ではありません。他の締約国がその船を自国の港で見るとき、免除の存在を確認できなければならないからです。
適用地域は規則46が定め、南極は別の規則が担います
3 Polar waters means Arctic waters and/or the Antarctic area.
極海は北極水域と南極海域を合わせた言葉です。規則43Aはそのうち北極水域にだけ掛かります。北極水域の境界は規則46.2が座標で定めます。決議MEPC.265(68)が極海コードを取り込む際に入れた定義です。
南極海域には決議MEPC.189(60)が入れた規則43があります。二つの規則は油の定義を共有しますが、範囲が違います。南極の規則43は、燃料として使用し積むことに加えて、貨物としてばら積み運送することまで禁止します。北極の規則43Aは燃料としての使用と運送だけを禁止します。貨物として積んだ重油は規則43Aの対象ではありません。
確認しておくこと
上の引用は、決議MEPC.329(76)の附属書(規則43A)、決議MEPC.265(68)の規則46、決議MEPC.141(54)の規則12Aから取りました。決議本文は、この改正が2022-11-01に発効すると記しています。規則46.2の北極水域の座標は長いので転記していません。
規則43.1.2が定める密度と動粘度の数値は、決議MEPC.189(60)の原文で直接確認する必要があります。この記事は数値を転記していません。第4項の免除に適用される機関の指針は、改正当時to be developedであり、ここでは扱っていません。極海コード自体の要件も扱っていません。
引用した原文を直接確認できます
以下は、この記事で扱う文書の公式発行元へのリンクです。本文に記載した版と条項を照合し、実際の適用前にその後の改正と旗国の実施要件を確認してください。
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北極水域に入った日付と、そのとき使い、積んでいた燃料の種類は、後から遡るのが難しいものです。Bellbookは入出港報告とNoon reportで位置と燃料種類別の消費・残量を受け取り、どの航海でどの燃料でその水域を通ったかを取り出せるようにします。
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