EU MRVの航海ごとの積載貨物量を船種ごとに何で書くのか(EU規則2016/1928)

EU規則2015/757は、加盟国の管轄する港を出入りする航海ごとに積載貨物量を監視するよう求めます。旅客船とロロ船とコンテナ船は、その規則の附属書IIが直接定めます。残りの船種は、欧州委員会実施規則2016/1928の第3条が船種ごとにどの数値を積載貨物量として使うかを定めます。
船種を間違えれば、その後の数字がすべて違ってきます。質量で書くべき船を積載載貨重量で書いたり、揚荷基準で書くべきLNG運搬船を積荷基準で書いたりすれば、輸送仕事量が変わり、検証で戻されます。第3条は十二の区分を並べ、区分ごとに一つまたは二つの数値を指定します。
適用範囲: この記事が扱う要件は、EU規則2015/757の適用を受ける航海、つまり加盟国の管轄する港へ向かうかその港を出る航海にだけ掛かります。世界共通の義務ではなく、EU MRVの中で働く地域制度です。他の制度の輸送仕事量の算定と同じ数値を使うとは限りません。
積載貨物量は第9条の航海ごとの監視項目の一つです
- Based on the monitoring plan assessed in accordance with Article 13(1), for each ship arriving in or departing from, and for each voyage to or from, a port under a Member State’s jurisdiction, companies shall monitor in accordance with Part A of Annex I and Part A of Annex II the following parameters:
規則2015/757第9条第1項は、航海ごとに監視する項目を(a)から(g)まで並べます。出発港と到着港とその日付・時刻、燃料ごとの消費量と排出係数、排出量、航行距離、海上滞在時間、積載貨物量、輸送仕事量です。積載貨物量は(f)です。
実施規則2016/1928の第1条は、自らの役割をその(f)一つに結び付けます。
This Regulation lays down rules specifying the parameters applicable to the determination of cargo carried for categories of ships other than passenger ships, ro-ro ships and container ships for the purposes of monitoring of other relevant information on a per-voyage basis pursuant to Article 9(1) of Regulation (EU) 2015/757.
旅客船とロロ船とコンテナ船は除かれます。前文(1)によれば、その三つの船種は規則2015/757附属書II A部第1項(g)ではなく、他の号で直接定められます。この実施規則はそれ以外の船種だけを扱います。
第3条は船種ごとに積載貨物量の数値を指定します
‘Cargo carried’ for the purpose of monitoring of other relevant information on a per-voyage basis pursuant to Article 9(1) of Regulation (EU) 2015/757, shall be determined as follows:
第3条第1項の(a)から(l)までを表に移します。船種の定義は第2条にあります。
| 号 | 船種 | 積載貨物量として使う数値 |
|---|---|---|
| (a) | 油タンカー | 船内貨物の質量 |
| (b) | ケミカルタンカー | 船内貨物の質量 |
| (c) | LNG運搬船 | 揚荷した貨物の容積。何回かに分けて揚荷すれば、新しい貨物を積むまでの合計 |
| (d) | ガス運搬船 | 船内貨物の質量 |
| (e) | ばら積み貨物船 | 船内貨物の質量 |
| (f) | 一般貨物船 | 積荷航海は積載載貨重量、バラスト航海は0 |
| (g) | 冷凍貨物船 | 船内貨物の質量 |
| (h) | 自動車運搬船 | 船内貨物の質量。実測質量、または貨物単位数か占有レーン長に標準重量を掛けた値 |
| (i) | 兼用船 | 船内貨物の質量 |
| (j) | ロパックス船 | 旅客数と船内貨物の質量。質量は実測、または貨物単位数か占有レーン長に標準重量を掛けた値 |
| (k) | コンテナ・ロロ貨物船 | 船内貨物の容積。貨物単位数と占有レーン長とTEU数をそれぞれ換算して合算 |
| (l) | その他の船種 | 船内貨物の質量、または積荷航海は積載載貨重量、バラスト航海は0 |
十二行のうち七行が船内貨物の質量一つで答えます。前文(2)がその理由を書いています。油タンカー・ケミカルタンカー・ガス運搬船・ばら積み貨物船・冷凍貨物船・兼用船は、IMOのEEOI自主的使用の指針と合わせるために質量を使います。
ロパックス船は二つの数値を一緒に書きます
(j) for ro-pax ships, as the number of passengers and as the mass of the cargo on board, determined as the actual mass or the number of cargo units (trucks, cars, etc.) or occupied lane meters multiplied by default values for their weight;
ロパックス船は第2条(10)で、12人を超える旅客を乗せ、ロロ貨物区域を持つ船と定義されます。旅客と貨物を一緒に運ぶので、積載貨物量も二つです。旅客数と船内貨物の質量です。一つの数値にまとめません。
貨物の質量は三つの方法のいずれかで定めます。実測質量、トラック・乗用車などの貨物単位数に標準重量を掛けた値、占有レーン長に標準重量を掛けた値です。自動車運搬船の(h)も同じ三つの方法を使います。
一般貨物船は積載載貨重量で書き、バラスト航海は0です
(f) for general cargo ships, as deadweight carried for laden voyages and as zero for ballast voyages;
一般貨物船だけが貨物の質量ではなくdeadweight carriedを使います。前文(4)は、この船種は貨物密度のばらつきが大きいためだと書いています。バラスト航海は0です。
積載載貨重量の意味は第2条(12)が定めます。
‘Deadweight carried’ means, in metric tonnes, the measured volume displacement of a ship at a load draught condition multiplied by the relative water density at departure reduced by the ship’s lightweight and by the weight of the fuel on board determined at the departure of the laden voyage concerned;
出港時点の満載喫水で計測した排水容積にそのときの相対海水密度を掛け、軽荷重量と出港時の船内燃料重量を引いた値です。トン単位です。ですから、積荷航海の出港喫水と燃料残量がその日の記録に残っていなければ、この数値は作れません。
第3条第2項は、一般貨物船に船内貨物の質量を追加項目として自主的に使えるようにします。第3項は、自動車運搬船に積載載貨重量を同じ方法で追加できるようにします。どちらも指定された数値に代わるものではなく、付け加えるものです。
LNG運搬船は積荷ではなく揚荷を基準にします
(c) for LNG carriers, as the volume of the cargo on discharge, or if the cargo is discharged at several occasions during a voyage, the sum of the cargo discharged during a voyage and the cargo discharged at all subsequent ports of call until new cargo is loaded;
LNG運搬船の積載貨物量は揚荷した貨物の容積です。質量ではなく、積荷量でもありません。一つの航海で何回かに分けて揚荷すれば、その航海の揚荷量と、新しい貨物を積むまで続く寄港地の揚荷量を足します。
第2条(3)と(4)がLNG運搬船とガス運搬船を分けます。LNG運搬船は独立した断熱タンクに液化天然ガスをばら積みするタンカーで、ガス運搬船はLNG以外の液化ガスをばら積みするタンカーです。ガス運搬船は(d)に従って船内貨物の質量を使います。
どの区分にもない船は会社が選び、監視計画に書きます
(l) for other ship types not falling under any of the categories mentioned in points (a) to (k) nor under those in points (d), (e) and (f) of paragraph 1 of Part A of Annex II to Regulation (EU) 2015/757, as mass of cargo on board or as deadweight carried for laden voyages and zero for ballast voyages.
(a)から(k)にも、規則2015/757附属書IIの旅客船・ロロ船・コンテナ船にも入らない船は、二つの数値のうち一つを選びます。船内貨物の質量、または積荷航海の積載載貨重量とバラスト航海の0です。
In order to ensure consistency and comparability of data over time in accordance with Article 4(3) of Regulation (EU) 2015/757, the company’s choice concerning the most appropriate cargo carried parameter is to be documented in the ship’s monitoring plan and applied accordingly.
前文(7)は、その選択を監視計画に書き、そのとおりに適用するよう求めます。航海ごとに変えられる選択ではありません。一度選べば、データの時間的な一貫性のために維持します。
確認しておくこと
上の引用は欧州委員会実施規則2016/1928の前文と第1条・第2条・第3条、そして規則2015/757第9条から取りました。この記事は二つの規則の本文までしか扱いません。
規則2015/757附属書IIの旅客船・ロロ船・コンテナ船の積載貨物量の規定は、ここでは扱っていません。自動車運搬船とロパックス船に掛ける標準重量の値がいくらかは、この実施規則は定めません。実施規則は第4条に従って官報掲載後20日目に発効し、その後の改正があるかどうかはEUR-Lexの文書ページで確認します。
引用した原文を直接確認できます
以下は、この記事で扱う文書の公式発行元へのリンクです。本文に記載した版と条項を照合し、EU法令については文書ページの統合版と改正履歴も確認してください。
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航海ごとの積載貨物量は、年末に作り直せない数字です。Bellbookは入出港報告と航海の記録に出港日と到着日と積載貨物量を一緒に受け取り、その航海の燃料消費を同じ行で集計します。
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