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海運への排出量取引の段階的導入日程と、費用を移しても残る返納義務(EU指令2003/87)

指令2003/87は、海運のEU ETS対象排出量、段階的な償却割合、費用償還を受ける権利を定めます。他の当事者から費用の償還を受けても、海運会社の償却義務は続きます。

海運ETSは2024年から対象貨物船・旅客船のCO₂に適用され、CH₄・N₂Oは2026年の排出量から対象です。5,000 GT以上のオフショア船は2027年からETS対象になります。MRV対象となる時期とETSの提出義務が始まる時期は必ずしも一致しません。欧州委員会ETS FAQで船種・総トン数・航路と例外を確認します。

対象は航海の両端がどこかで分かれます

  1. The allocation of allowances and the application of surrender requirements in respect of maritime transport activities shall apply in respect of fifty percent (50 %) of the emissions from ships performing voyages departing from a port of call under the jurisdiction of a Member State and arriving at a port of call outside the jurisdiction of a Member State, fifty percent (50 %) of the emissions from ships performing voyages departing from a port of call outside the jurisdiction of a Member State and arriving at a port of call under the jurisdiction of a Member State, one hundred percent (100 %) of emissions from ships performing voyages departing from a port of call under the jurisdiction of a Member State and arriving at a port of call under the jurisdiction of a Member State, and one hundred percent (100 %) of emissions from ships within a port of call under the jurisdiction of a Member State.
航海 適用される割合
加盟国管轄の寄港地を出発し、管轄外の寄港地に到着 50%
管轄外の寄港地を出発し、加盟国管轄の寄港地に到着 50%
加盟国管轄の寄港地を出発し、加盟国管轄の寄港地に到着 100%
加盟国管轄の寄港地の中で発生した排出 100%

判断の軸が船ではなく航海です。同じ船が一年のうちにいくつもの割合を行き来します。ですから 航海ごとに出発港と到着港が何であったかが、そのまま計算に入ってきます。

排出年と排出枠の提出期限は1年ずれます

排出年 提出割合 提出期限
2024 40% 2025-09-30
2025 70% 2026-09-30
2026 100% 2027-09-30

以後も前年の検証済み排出量に対する排出枠を毎年9月30日までに提出します。2026年の提出対象は2025年排出量の70%です。2026年排出量の100%を提出するのは2027年です。航路別の50%・100%の対象範囲を適用した後に、この段階的な提出割合を適用します。

2024・2025年の段階導入による差額分の排出枠は、競売せず取り消します。

費用は契約で移せます

Member States shall take the necessary measures to ensure that when the ultimate responsibility for the purchase of the fuel, or the operation of the ship, or both, is assumed by an entity other than the shipping company pursuant to a contractual arrangement, the shipping company is entitled to reimbursement from that entity for the costs arising from the surrender of allowances.

条件は、契約上ほかの主体が燃料の購入の最終責任か、船舶の運航の最終責任か、またはその両方を負う 場合です。そうすれば海運会社は排出枠の返納から生じる費用を、その主体から償還される権利を持ちます。

加盟国がすべきことがその権利を確保する措置である点も読む必要があります。契約にそういう条項があれば よいという勧めではなく、その権利が実際に働くよう加盟国が措置せよという要求です。

ところが義務は移りません

‘Operation of the ship’ for the purposes of this Article means determining the cargo carried or the route and the speed of the ship. The shipping company shall remain the entity responsible for surrendering allowances as required under Articles 3gb and 12 and for overall compliance with the provisions of national law transposing this Directive.

二つが一つの段落にあります。第一に、この条文でいう船舶の運航とは、積載する貨物を定めること、 または船の航路と速力を定めることです。用船契約でその決定権がどこにあるかを見よということです。

第二に、返納義務の主体は海運会社のままです。償還を受ける権利があるという事実が返納義務を移しま せん。加盟国は自らの責任の下にある海運会社が返納義務を履行するよう確保しなければならず、その会社 が商業運航者から費用の償還を受ける権利があるという事情は、その確保の義務を減じません。

監視と報告はMRV規則をそのまま使います

管理当局は、自らの責任の下にある海運会社が報告期間中に関連項目を監視し報告し、会社単位で集計した 排出データを提出するよう確保します。その基準が規則2015/757の第二章です。

MRVですでに作っているデータが排出枠返納の入力になるという意味です。二つの制度が別々の集計を求めま せん。

確認しておくこと

上の引用は指令2003/87の2024年3月1日時点の統合版から取りました。管理当局がどこか、国内の実施法令が 償還の権利をどんな形で盛り込んだかは国ごとに違います。その船の航海が上の表のどの行に入るか、用船 契約で航路と速力の決定権が誰にあるか、そして償還の条項が契約に実際に入っているかが、実際の判断の 出発点です。

航路の対象割合を適用してから実績年の償却割合を掛けます

ETS対象船が2025年に非EU港とEU港の間を航海し、CO₂を100 t排出したと仮定します。例外や別途の軽減措置はなく、この架空の数値には港内排出を含めません。

計算段階 計算 結果
航路の地理的適用範囲 100 t × 50% 50 t
排出実績年の段階的償却割合 50 t × 70% 35 t

この航海が会社の償却義務に加える量は排出枠35単位に相当します。2025年排出分の償却期限は2026-09-30です。航海全体の100 tに直接70%を掛けたり、償却する年の100%を選んだりすると結果が変わります。実際の会社全体の償却量には、他の航海・港内排出と適用可能な調整も反映します。範囲と段階的割合は欧州委員会ETS FAQで確認できます。

引用した原文を直接確認できます

以下は、この記事で扱う文書の公式発行元へのリンクです。本文に記載した版と条項を照合し、EU法令については文書ページの統合版と改正履歴も確認してください。

関連する業務の解説も確認できます

Bellbookは入港と出港を港の単位で残すので、航海の両端がそのまま残ります

その航海が50%か100%かは、出発港と到着港が加盟国の管轄かどうかで分かれます。Bellbookは入出港の報告から港をそのまま受け取って航海をつなぐので、後から航海ごとにどの割合が掛かるかを記録から数えられます。

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