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2010年のISMコード改正が内部監査の周期とリスク評価の文言に残した五行(MSC.273(85))

ISMコードの改正決議は、新しい条文をそのまま載せません。「既存の12.1項を次のものに置き換える」「10.3項からこの文言を削除する」のように指示文で書きます。そのため決議だけを読むと改正後の文が見えず、統合版だけを読むとどの決議がいつ変えたのかが見えません。

この記事は決議MSC.273(85)を扱います。改正は2010年1月1日に受諾されたものとみなされ、2010年7月1日に発効しました。附属書の指示文は十二個あり、そのうち船内の業務に直接触れるのは、内部監査の間隔、リスク評価、船長の定期的な見直し、是正措置の再発防止、重要設備の条項の文言です。各節は決議の指示文を引用し、改正後の条文として読み解きます。

内部監査の間隔は12か月を超えられず、例外的な場合にだけ3か月を足します

12.1 The Company should carry out internal safety audits on board and ashore at intervals not exceeding twelve months to verify whether safety and pollution-prevention activities comply with the safety management system. In exceptional circumstances, this interval may be exceeded by not more than three months.

12.1は間隔を12か月を超えないものと定め、場所を船内と陸上の両方と書きます。内部監査が確認するのは、安全・汚染防止の活動が安全管理システムに従って回っているかどうかです。例外的な状況ではこの間隔を超えられますが、3か月を超えることはできません。12か月に3か月を足したものが、二回の監査の間の上限です。

12か月は監査日から監査日まで数えます。暦年ではありません。例外条項は間隔を延ばすものであって、監査を飛ばすものではありません。

9 In paragraph 12.2, the words “efficiency of and, when needed, review” are replaced by the words “effectiveness of”.

12.2ではefficiency of and, when needed, reviewがeffectiveness ofに変わりました。評価の物差しが効率から効果へ移り、必要なときだけ見直すという条件付きの文言が消えました。

目的の条項にリスク評価が明記されました

.2 assess all identified risks to its ships, personnel and the environment and establish appropriate safeguards; and

既存の1.2.2.2を置き換えた文です。会社の安全管理の目的に、特定されたすべてのリスクを評価し適切な安全対策を設けることが入りました。評価の対象は船、人員、環境です。この文言が入ったことで、リスク評価は任意の活動ではなく、コードの1.2が掲げる目的の一つになりました。

1 In paragraph 1.1.10, the words “and includes” are replaced by the word “or”.

定義の条項1.1.10では接続語が一つ変わりました。and includesがorになり、二つの条件を両方満たす必要があった定義が、どちらか一方でも成立する定義に広がりました。決議はこの項の全文を載せていないので、改正後の定義の全文は統合版で確認します。

船長の安全管理システムの見直しに定期性が付きました

3 The word “periodically” is added at the beginning of paragraph 5.1.5.

5.1.5は船長の責任と権限を書く5章の項です。先頭にperiodicallyが付き、船長が安全管理システムを見直すことが定期的な仕事になりました。決議は周期を定めません。何か月ごとに行うかは会社の安全管理システムが定め、その記録が内部監査と外部の検証で証拠になります。

船内作業と非常時対応の条項は短い文で書き直されました

7 SHIPBOARD OPERATIONS The Company should establish procedures, plans and instructions, including checklists as appropriate, for key shipboard operations concerning the safety of the personnel, ship and protection of the environment. The various tasks should be defined and assigned to qualified personnel.

7章は題名から変わりました。船内作業の計画の策定が船内作業になり、会社が備えるものは手順、計画、指示であり、必要に応じてチェックリストを含みます。対象は人員の安全、船、環境保護に関わる主要な船内作業です。二つ目の文は、作業を定義して資格のある人員に割り当てるよう書いています。

8.1 The Company should identify potential emergency shipboard situations, and establish procedures to respond to them.

8.1は二つの動作に縮まりました。潜在的な船内の非常事態を特定すること、そしてそれに対応する手順を定めることです。

是正措置に再発防止が入り、重要設備の条項の回り道の文言が外れました

9.2 The Company should establish procedures for the implementation of corrective action, including measures intended to prevent recurrence.

9章は不適合、事故、危険な事象の報告と分析を扱います。9.2は是正措置の手順に再発防止の措置を含めるよう求めます。原因を直さず現象だけを直しても、この項を満たしません。A.1118(30)の4.14.3も、再発防止の措置を含む適切な是正措置を取らなければ重大な不適合とみなし得ると書いています。

7 In paragraph 10.3, the words “establish procedures in its safety management system to” are deleted.

10.3は重要設備を扱う項です。establish procedures in its safety management system toが削除され、会社が安全管理システムに手順を設けて何かをする構造から、会社が直接行う構造へ文が変わりました。決議は削除の指示だけを載せているので、削除後の10.3の全文は統合版で確認します。

13章と14章にも手が入りました

決議の10項は13章に13.12、13.13、13.14を加えました。満了後に更新検証を終えたSMCの有効期間、新しい証書が船内に届かないときの5か月の裏書、検証の港まで行くための3か月の延長です。この三つの項は、DOCとSMCの検証の窓を扱った記事で読み解いています。

11 In paragraph 14.4.3, the word “internal” is inserted after the words “planned the”.

14.4.3は暫定SMCを発給する前に検証する条件の一つで、会社が3か月以内にその船の監査を計画しているかを見ます。ここにinternalが入り、その監査が会社の内部監査であることが明確になりました。12.1が定める内部監査が、暫定証書の段階では3か月以内に組まれていなければなりません。

確認しておくこと

この記事はMSC.273(85)の指示文までだけを扱います。指示文が変える1.1.10、10.3、12.2の全文は決議に載っていないので、ISMコードの統合版と照合します。決議は2010年7月1日に発効した分であり、その後の改正は扱いません。その船の最後の内部監査の日付と次の監査の予定日、3か月の例外を使ったことがあるかが、実際の判断の出発点です。

引用した原文を直接確認できます

以下は、この記事で扱う文書の公式発行元へのリンクです。本文に記載した版と条項を照合し、実際の適用前にその後の改正と旗国の実施要件を確認してください。

関連する業務の解説も確認できます

Bellbookは船ごとに内部監査の日付を持ち、12か月が満ちる前に見せます

内部監査の間隔は前回の監査日から数え始めます。Bellbookは船舶内部監査の記録から次の監査が開く月を12か月周期で追い、リスク評価は作業ごとに承認と有効期間を付けて残します。

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