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救命艇・進水装置・離脱装置の週次・月次点検と年次・5年ごとの徹底検査を誰が行うのか(MSC.402(96))

救命艇と救助艇、進水装置と離脱装置の整備は、決議MSC.402(96)が採択した要件が定めます。この要件はSOLAS規則III/20が直接参照しているので、船の整備マニュアルと会社の手順はこの要件に合っていなければなりません。決議は、関連するSOLAS改正の発効に合わせて2020年1月1日から効力を持つと書いています。

要件の骨格は「誰が行うか」です。週次・月次の点検は船員が行えますが、年次の徹底検査からは製造者か認定サービス業者の認証を受けた要員が行わなければなりません。5年ごとの検査は過負荷試験とフックの分解が入るので、同じ認証要員が行います。船舶運航者がそのサービス業者になる道も開かれていますが、条件が付きます。

記録も周期ごとに分かれます。作業者が署名し船長が副署した報告書、設備の寿命の間船に置く記録、作業を終えた業者が発行する適合確認書が、それぞれ別の場所に残ります。

適用対象は四種類の設備で、修理とオーバーホールの定義が分かれます

2.1 These Requirements shall apply to the maintenance, thorough examination, operational testing, overhaul and repair of: .1 lifeboats (including free-fall lifeboats), rescue boats and fast rescue boats; and .2 launching appliances and on-load and off-load release gear for lifeboats (including primary and secondary means of launching appliances for free-fall lifeboats), rescue boats, fast rescue boats and davit-launched liferafts.

対象は救命艇(自由降下式を含む)、救助艇、高速救助艇、そしてこれらとダビット進水式救命いかだの進水装置と離脱装置です。活動は五つです。整備、徹底検査、作動試験、オーバーホール、修理です。

定義で二つの言葉を区別します。修理(2.2.6)は設備を分解しなければならない全ての活動、または船内整備指針と応急修理指針の範囲を外れる全ての活動です。オーバーホール(2.2.7)は製造者が定めた周期的な活動で、正しい整備を前提に一定期間引き続き使えることを証明するものです。船員がマニュアルどおりに行う作業は整備で、分解が入れば修理です。この境界が下の「誰が」を分けます。

週次・月次の点検は船員が行え、年次の徹底検査からは認証要員が行います

4.1 Weekly and monthly inspections and routine maintenance as specified in the equipment maintenance manual(s), shall be conducted by authorized service providers, or by shipboard personnel under the direction of a senior ship’s officer in accordance with the maintenance manual(s).

4.2 Annual thorough examinations and operational tests, as described in section 6.2, shall be conducted by certified personnel of either the manufacturer or an authorized service provider in accordance with section 7 and section 8. The service provider may be the ship operator provided that it is authorized in accordance with section 3 and section 7.

4.3 Five-year thorough examination, any overhaul, overload operational tests, as described in section 6.3, and repair shall be conducted by certified personnel of either the manufacturer or an authorized service provider in accordance with section 7 and section 8.

周期・活動 誰が行えるか 根拠
週次・月次の点検、日常整備 認定サービス業者、または上級職員の指揮の下の船員 4.1
年次の徹底検査と作動試験 製造者か認定サービス業者の認証要員 4.2
5年ごとの徹底検査、オーバーホール、過負荷作動試験、修理 製造者か認定サービス業者の認証要員 4.3

船員が行えるのは、マニュアルに書かれた週次・月次の点検と日常整備までです。それも上級職員の指揮の下でマニュアルどおりに行います。年次の検査からは認証要員です。認証は第8節に従い、製造者か認定サービス業者が設備のメーカーと型式ごとに与えます。その要員が船内で作業するときは、会社が定めた指示と手順に従います(1.5)。

船舶運航者も主管庁の認定を受ければサービス業者になれます

4.2の最後の文が道を開きます。サービス業者は船舶運航者であってもよいのです。条件は第3節と第7節に従って認定を受けることです。主管庁は徹底検査・作動試験・修理・オーバーホールが第7節に従って認定されたサービス業者によって行われるようにしなければならず(3.1)、製造者がサービス業者として働くときも第7節が同じように適用されます(3.2)。

7.1が認定に必要な最小限の立証を書いています。認められた規格か製造者の認証プログラムに従って認証された要員の雇用と文書化、製造者が指定する特殊工具を含む十分な工具、整備と修理に必要な部品と付属品へのアクセス、オンロード離脱装置とダビットウインチの分解・調整を含む修理作業に対する製造者の指示、そして文書化され認証された品質システムです。品質システムには行動規範、測定器の校正、要員の訓練プログラム、監督と検証、記録と報告、子会社と代理店の品質管理、作業準備、手順と苦情と是正措置の定期的な見直しが入っていなければなりません。

.1 upon successful initial audit of a service provider, an authorization document shall be issued by the Administration defining the scope of services provided (e.g. makes and types of equipment). The expiry date shall be clearly written on the document;

認定は文書として出ます。初回審査に合格すれば主管庁がサービスの範囲を定めた認定書を発給し、そこに満了日が明確に書かれていなければなりません(7.4)。主管庁は定期審査などで作業が引き続き要件に合っているかを確認し、合っていない業者の認定を取り消します。他の主管庁やその認定機関が認定した業者を受け入れることもできます。製造者がなくなったか技術支援を打ち切った設備は、主管庁が以前の認定や長期の経験を根拠に業者を認定できます(7.3)。

運航者がこの道を選べば、自社の船の救命艇を自社の要員で年次検査できます。その代わり7.1の五つを全て備えて主管庁の審査に合格しなければならず、認定書の範囲外の設備には手を付けられません。

年次の徹底検査は週次・月次のチェックリストから始まり、ウインチブレーキ試験で終わります

年次検査の最初の部分は新しい項目ではありません。SOLAS規則III/20.6とIII/20.7が要求する週次・月次点検のチェックリストの項目全てが、年次徹底検査の最初の部分を構成します(6.2.1)。その次に、船員が行った点検と日常整備の記録、設備の証書を確認します(6.2.2)。船員の記録が空であれば、年次検査の二番目の段階が空になるわけです。

艇そのものは、艇体構造と固定・移動艤装品、機関と推進系統、散水装置、空気供給装置、操縦装置、電源、排水装置、フェンダーとスケート、救助艇の復原装置を見ます(6.2.3)。離脱装置は、ウインチブレーキの年次作動試験の後に、作動装置、過度の遊び、水圧インターロック、制御と離脱のケーブル、フックの締結を見ます(6.2.4)。要件はここに注記を二つ付けています。離脱装置の設定と整備は救命艇の安全に直結する重大な作業であり、フックに荷重が掛かった状態ではいかなる整備や調整も行いません。

6.2.10 For winches of the launching appliances for lifeboats (including free-fall lifeboats), rescue boats, fast rescue boats and liferafts, annual operational testing shall be done by lowering the empty craft or boat or equivalent load. When the craft has reached its maximum lowering speed and before the craft enters the water, the brake shall be abruptly applied. Following these tests, the stressed structural parts shall be reinspected where the structure permits the reinspection.

ウインチの年次作動試験は、空の艇か同等の荷重を降ろしながら行います。最大降下速度に達し、水に入る前にブレーキを急激に掛けます。その後、応力を受けた構造部分を再検査します。オンロード離脱とオフロード離脱の作動試験の手順は6.2.5と6.2.6に、自由降下式救命艇は6.2.7に、ダビット進水式救命いかだの自動離脱は6.2.8に段階ごとに書かれています。

5年ごとの検査は1.1倍の過負荷試験とフックの分解を要求します

6.3.1 The five-year operational test of the winches of the launching appliances shall be carried out with a proof load equal to 1.1 times the weight of the survival craft or rescue boat and its full complement of persons and equipment. When the proof load has reached its maximum lowering speed, the brake shall be abruptly applied.

5年ごとの試験の荷重は、生存艇か救助艇に定員と艤装品を全て載せた重量の1.1倍です。その荷重が最大降下速度に達したときにブレーキを急激に掛けます。年次試験との違いは荷重です。年次は空の艇、5年ごとは満載の1.1倍です。

6.3.3 The operational tests and overhaul at five-year intervals of release gear for lifeboats (including free-fall lifeboats), rescue boats, fast rescue boats and liferafts shall include: .1 dismantling of hook release units; .2 examinations with regard to tolerances and design requirements; .3 adjustment of release gear system after assembly; .4 operational tests as per paragraphs 6.2.5, 6.2.6, 6.2.7 or 6.2.8 above, as applicable, but with a load equal to 1.1 times the weight of the survival craft or rescue boat and its full complement of persons and equipment; and .5 examinations of vital parts with regard to defects and cracks.

離脱装置の5年ごとの作業はオーバーホールです。フック離脱ユニットを分解し、公差と設計要件を検査し、組立て後に再調整し、年次試験と同じ手順で作動試験を行いつつ荷重を1.1倍に上げ、主要部品の欠陥と亀裂を検査します。分解が入るので定義上は修理の範疇であり、だから4.3の認証要員が行います。その他に必要なオーバーホールも同じ6.3.3に従います(6.3.4)。

報告書は作業者が署名し船長が副署し、記録は設備の寿命の間船に置きます

5.1 All reports and checklists shall be completed and signed by the person who carries out the inspection and maintenance work and countersigned by the Company’s representative or the ship’s master.

5.2 Records of maintenance, thorough examination, operational testing, overhaul and repair shall be updated and filed on board the ship for the service life of the equipment.

5.3 When thorough examination, operational testing, overhaul and repair are completed, a statement confirming that the lifeboat arrangements remain fit for purpose shall be promptly issued by the manufacturer or authorized service provider that conducted the work. A copy of valid documents of certification and authorization as appropriate shall be included with the statement.

記録は三層です。第一に、報告書とチェックリストは作業した者が作成して署名し、会社の代表者か船長が副署します。船員が行った週次点検もここに入ります。第二に、整備・徹底検査・作動試験・オーバーホール・修理の記録は更新して設備の寿命の間船に置きます。保管期間が年単位ではなく設備の寿命です。第三に、徹底検査・作動試験・オーバーホール・修理を終えると、作業した製造者かサービス業者が救命艇設備が引き続き目的に適合しているという確認書を直ちに発行します。その確認書には要員の認証書と業者の認定書の有効な写しが付いていなければなりません。

第三層の写しが重要です。認証と認定が有効だったかは、確認書に付いた写しで証明します。要員の認証書の有効期間は発給日から3年で、満了日が認証書に明確に書かれていなければなりません(8.3.1)。作業の質に問題があれば認証は停止され、再び能力評価に合格して初めて復活します。更新にも能力評価が必要です(8.3.2)。

マニュアルも要件の一部です。全ての作業は製造者の整備マニュアルと技術文書に従って行い、その一式が船になければなりません(6.1.2)。マニュアルは6.2と6.3の項目を最低限含み、会社が製造者の情報を反映して最新に保ちます(6.1.3)。

確認しておくこと

上の引用は決議MSC.402(96)の付属書から取りました。この記事はその本文までを扱います。

  • 要件はSOLAS規則III/20とIII/36につながります。二つの規則の本文はこの記事では扱いません。
  • 週次・月次点検の項目は設備の整備マニュアルとSOLAS規則III/20が定めます。要件はその項目が年次検査の最初の部分になるとだけ書いています。
  • 認証要員の教育と訓練の内容は8.2にあります。どの規格やプログラムで認証するかは業者と主管庁の判断です。
  • どの主管庁が他の主管庁の認定を認めるかは、7.4が「できる」と書いています。旗国ごとに確認します。

引用した原文を直接確認できます

以下は、この記事で扱う文書の公式発行元へのリンクです。本文に記載した版と条項を照合し、実際の適用前にその後の改正と旗国の実施要件を確認してください。

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Bellbookは整備計画に週次・月次・年次・5年の周期を別々に置き、完了報告とサービス業者の確認書を同じ設備に付けます

周期ごとに行える人が違うので、記録も周期ごとに分かれていなければなりません。Bellbookは救命艇と進水装置を設備として登録して周期別の整備項目と完了報告を残し、サービス業者が発行した適合確認書は船舶の書類箱に置いて次の検査でそのまま取り出せるようにします。

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