船員健康証明書の有効期間と航海中に満了した場合の扱い(MLC基準A1.2)

MLC, 2006の規則1.2と基準A1.2は、健康証明書の有効期間と失効後の例外を定めます。原則2年、未成年者1年、色覚証明6年のほか、航海中の失効と緊急許可にはそれぞれ3か月の規定があります。
有効な健康証明書がなければ、船内労働そのものができません
Seafarers shall not work on a ship unless they are certified as medically fit to perform their duties.
規則1.2第1項です。健康証明書は採用書類の一つではなく、船内労働の前提条件です。 基準A1.2第1項はこれを受けて、権限のある機関は船員が船舶における労働の開始に先立ち 有効な証明書を所持することを要求しなければならないと定めます。例外は規則1.2第2項の とおり、規範が定める場合にのみ開かれます。その例外が下の第8項と第9項です。
発給する者も決まっています。正当な資格を有する医師です(第4項)。視力のみに関する 証明書は、権限のある機関が資格を認めた者も発給できます。発給を拒否された船員や、 労働能力に制限を課された船員には、他の独立性を有する医師または独立性を有する 医事審査員による新たな検査を受ける機会が与えられます(第5項)。
基本の有効期間は最長2年で、18歳未満は1年です
(a) a medical certificate shall be valid for a maximum period of two years unless the seafarer is under the age of 18, in which case the maximum period of validity shall be one year;
第7項(a)です。条文が定めているのは「2年の証明書」ではなく最長2年です。第7項の 柱書きが二つの但し書きを付けています。その船員が遂行する特定の職務のために一層短い 期間が求められる場合、そしてSTCW条約に基づいて一層短い期間が求められる場合です。 どちらの場合も短いほうが優先します。18歳未満の船員の証明書は最長1年です。
色覚証明の有効期間は別に最長6年です
(b) a certification of colour vision shall be valid for a maximum period of six years.
色覚に関する証明の6年と健康証明書の2年は別々の期間です。対象も異なります。色覚の 要件が付くのは、色覚の欠陥によって労働への適性が影響されるおそれのある職務区分で 雇用される船員です(第6項(a))。証明書には、聴力と視力、該当する場合には色覚が満足す べきものであること、そして海上勤務によって悪化し、若しくは勤務に適さなくなるおそれ があり、又は船内の他の者の健康に害を及ぼすおそれのある健康状態にないことを明示しま す(第6項)。
航海中に満了した場合は次の寄港地まで有効です。上限は3か月です
If the period of validity of a certificate expires in the course of a voyage, the certificate shall continue in force until the next port of call where the seafarer can obtain a medical certificate from a qualified medical practitioner, provided that the period shall not exceed three months.
第9項です。効力が続く終点はどの寄港地でもよいのではなく、資格を有する医師から証明書 を取得することができる次の寄港地であり、その期間は3か月を超えられません。3か月は 自動的に与えられる延長ではなく上限です。取得できる寄港地に先に着いたなら、そこで 取得しなければなりません。
緊急の場合の無証明書での乗船は、二つの条件を同時に満たす必要があります
第8項は、有効な証明書なしに労働することを許可する通路です。権限のある機関が緊急の 場合に許可することができ、条件が二つ付きます。許可の期間が3か月以内であること、 そして次です。
(b) the seafarer concerned is in possession of an expired medical certificate of recent date.
有効期間が満了した最近の証明書を所持していなければなりません。満了したからと 古い証明書を捨てれば、この通路は閉じます。満了は証明書の効力を終わらせますが、その 紙が書類として果たす役割は残っています。この許可で乗船した船員は、次の寄港地で資格 を有する医師から証明書を取得しなければなりません。
STCW条約に基づいて受けた健康証明書は、MLCの目的でも認められます
第3項です。STCW条約の要件に従って発給された健康証明書は、規則1.2の適用上、権限の ある機関によって認められます。二つの条約のために検査を二度受ける必要はありません。 STCW条約が適用されない船員についても、当該要件を実質的に満たす証明書であれば同様に 認められます。
健康検査と証明書の内容は、権限のある機関が船舶所有者団体・船員団体と協議した上で 定めます(第2項)。指針B1.2.1はその際、ILO/WHOの船員健康検査に関する指針に従うことを 勧告しています。
国際航行に従事する船舶では英語版が必須です
第10項です。通常国際航行に従事する船舶において労働する船員の健康証明書は、少なくと も英語によって提供されなければなりません。要件の対象は国際航行の船舶ですから、寄港 地で閲覧する検査官が読める言語を条文が直接定めているのです。
この記事の有効期間の数字は、条約が定めた最長値です。旗国の法令、特定の職務、STCW 条約側の要求がより短いことがあります(第7項)。検査項目と証明書の様式は権限のある機関 が定めるので(第2項)、実際の適用の前には旗国の法令と会社の手順をあわせて確認する必要 があります。
乗船前の満了か航海中の満了かを先に区別します
以下は条項の適用を説明する架空の事例です。実際の乗船許可や医師の適性判定に代わるものではありません。
| 確認した記録 | 検討する手順 | 残す根拠 |
|---|---|---|
| 船内での勤務開始前に証明書が満了した | 航海中の満了規定は使いません。緊急時の許可には権限のある機関の判断が必要です | 最近満了した証明書、許可書、許可条件 |
| 航海中に満了し、次の港で資格のある医師の診察を受けられる | その港で新しい証明書を取得します。上限まで待つ計画にはしません | 満了日、寄港予定、診察の可否 |
| 有効期間内でも、割り当てる職務に合わない制限がある | 日付だけで適合とせず、職務と制限を照合します | 証明書の制限、職務、確認結果 |
確認表には満了日と次の対応を記録します
医療証明書の確認用CSVは空欄の業務補助様式です。旗国、職務、証明書の参照番号、発行日・満了日、制限の確認、次に診察を受けられる港、当局の許可参照、担当者、後続対応を記入します。診断内容の詳細を転記する様式ではありません。空欄は未確認として残し、乗船可能という自動判定は行いません。
記入後に証明書原本と照合し、未確認の制限や許可条件があれば、解決した根拠を関連付けます。今回の更新では、満了時点別の確認表と補助様式を追加しました。
引用した原文を直接確認できます
以下は、この記事で扱う文書の公式発行元へのリンクです。本文に記載した版と条項を照合し、実際の適用前にその後の改正と旗国の実施要件を確認してください。
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健康証明書を含む船員の証書を満了日とともに登録すると、期限が近い証書が一覧で浮かび上がり、船員本人もクルーアプリで自分の証書を確認できます。第8項の緊急時の乗船は、満了した証明書を所持している船員にだけ開かれます。古い証明書が記録として残っていて初めて使える条文です。
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